米7月コアCPI、前月比0.3%上昇、前年比5.9%上昇―いずれも予想下回る

経済

2022/8/12 8:44

<チェックポイント>

●家賃や輸送サービス、中古車、アパレルがコア指数を押し下げ

●全体指数は前年比8.5%上昇―食品高騰続くもエネルギー急落で伸び率鈍化

●9月FOMCは0.50ポイント利上げにペースダウン―市場予想

 米労働省が10日発表した7月CPI(消費者物価指数)は、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除く)が前月比0.3%上昇と、6月の0.7%上昇から伸びが鈍化。市場予想の0.5%上昇に対しても下回った。前年比は5.9%上昇と、6月から横ばいだった。

 前月比が予想を下回る低い伸びとなったのは、航空運賃を含む輸送サービスや中古車、アパレルが下落に転じたことや、CPI全体のウエートが高い家賃など住居費の伸びが鈍化したため。航空運賃は7.8%低下と、6月の1.8%低下に続いて2カ月連続の低下となった。自動車修理は1.1%上昇(6月は2.0%上昇)、自動車保険料も1.3%上昇(同1.9%上昇)と伸びが鈍化し、輸送サービス全体で0.5%低下(同2.1%上昇)となっている。中古車が0.4%低下(同1.6%上昇)と、3カ月ぶりに低下。新車は0.6%上昇(同0.7%上昇)から伸びが鈍化。アパレルは0.1%低下(同0.8%上昇)から3カ月ぶりに低下した。

 CPIの構成ウエートの約3分の1を占める、家賃やホテル宿泊料などのシェルター価格(家賃・宿泊費)は0.5%上昇(同0.6%上昇)から伸びが鈍化。このうち、帰属家賃(OER、持ち家でも借家と同様に住宅サービスを受けているとして家賃で評価したもの)も0.6%上昇(同0.7%上昇)と、6月の90年8月以来、31年10カ月ぶりの高い伸びから鈍化した。賃貸住宅の家賃も0.7%上昇(同0.8%上昇)と伸びが鈍化。ホテル宿泊料は2.7%低下(同2.8%低下)と、2カ月連続で低下した。

 他方、全体指数(季節調整後)は前月比横ばいと、6月(同1.3%上昇)から伸びが鈍化。20年5月(0.04%上昇)以来2年2カ月ぶりの低い伸びとなり、市場予想の0.2%上昇に対しても下回った。伸びが減速したのは、月ごとに値動きの激しいエネルギー(主にガソリン)が急落したため。

 エネルギー全体では前月比は4.6%低下と、6月(7.5%上昇)から急減速。20年4月(10.3%低下)以来、2年3カ月ぶりの低い伸びとなった。ガソリンが7.7%低下(6月は11.2%上昇)となったことが大きい。暖房用の重油は11.0%低下(同1.2%低下)と、2カ月連続で低下。都市ガス料金は3.6%低下(同8.2%上昇)、電気料金は1.6%上昇(同1.7%上昇)となった。

 ただ、食品は前月比1.1%上昇と、6月(1.0%上昇)を上回り、伸びが加速した。食品のうち、レストランなどで提供された外食価格は0.7%上昇と、6月(0.9%上昇)を下回ったが、自宅調理用の食品は1.3%上昇と6月(1.0%上昇)を上回っている。

 全体指数の前年比は8.5%上昇と、6月の9.1%上昇を下回り、市場予想の8.7%上昇に対しても下回った。直近では4月(8.3%上昇)以来3カ月ぶりの低い伸びに戻った。

 主な内訳は、食品が10.9%上昇と、79年5月(11.4%上昇)以来、43年2カ月ぶりの高い伸びとなった。エネルギーは6月の41.6%上昇から32.9%上昇に鈍化し、4月(30.3%上昇)以来3カ月ぶりの低い伸び。このうち、ガソリンは44%上昇(6月は59.9%上昇)に鈍化。4月(43.6%上昇)以来3カ月ぶりの低い伸びとなった。燃料油は6月の98.5%上昇から75.6%上昇に減速。電力は15.2%上昇(同13.7%上昇)と加速したが、都市ガスは30.5%上昇(同38.4%上昇)と、5月(30.2%上昇)以来、2カ月ぶりの低い伸びとなった。

 市場では今回の7月統計で伸びが鈍化したことを受け、インフレはピークに近づいた可能性があると見ているが、インフレの高止まりがしばらく続くと想定されることから、FRBは次回9月20-21日FOMC(米連邦公開市場委員会)ではこれまでの0.75ポイン利上げからペースダウンし0.50ポイント利上げになると予想している。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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