クロスマーケ「デジタルマーケティング事業の成長加速」=五十嵐幹社長兼CEOに聞く
2022/9/5 9:10
クロス・マーケティンググループ<3675.T>はインターネット・リサーチ事業で創業し、2022年に創業20周年を迎えた。積極的なM&A(企業の合併・買収)で業容拡大、グローバル展開を続け、現在ではデジタルマーケティング事業に注力、新たな成長局面に入っている。同社の現状と将来について五十嵐幹代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)に聞いた。
――なぜインターネット・リサーチ事業で創業したのですか。
「当時、さまざまな事業のデジタル化が進んでいる中で、リサーチ事業には特にデジタル化のメリットが大きいと考えたからです。また、多くのリサーチ会社は自社が確保するデータベースに依存していましたが、当社はあえてデータベースを持たず、案件ごとに目的に合った会員データベースを持つ会社とデータ連携し、パネルネットワークを構築し、これをベースにさまざまなマーケティングDX(デジタルトランスフォーメーション)をお客様企業に提供していくというビジネスモデルとしました。これが、低コストに加えて、顧客のニーズに対して機動的な対応ができるということにつながりました。当社はリサーチ会社としては後発でしたが、この戦略で差別化し、成長することができました」
――創業後、M&Aの効果もあって、事業領域、業容とも大きく拡大しました。
「08年10月にマザーズに上場したときは非連結決算で、売上高の規模も27億円程度でした。リサーチ事業だけ、国内だけでは成長に限界があると考え、その後は積極的なM&Aでグループ会社を増やすとともに、事業領域を広げ、13年6月に持株会社のクロス・マーケティンググループを設立して改めて上場しました。23年6月期の連結売上高予想は280億円で、上場時から比較すると10倍以上になる計画です。当社は会社の事業ドメインを変えることを恐れておらず、近年はデジタル化、DX化を推進し、デジタルマーケティング事業を中心とした事業展開を進めています」
――デジタルマーケティングについて教えてください。
「新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、ここ数年は消費者の購買行動がデジタル中心になってきました。従来のマスプロモーションより、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)おいてインフルエンサーの発信の効果が特に大きくなっています。その中で、特に成長が見込める領域として、デジタル、ITを中心としたプロモーション、EC(=Eコマース、電子商取引)・マーケティング支援など、デジタルマーケティング事業に注力する方針を明確にしました。21年1月にはオンラインとオフラインでサンプリングを通じた商品プロモーションを展開するドゥ・ハウスを子会社化しており、こうしたM&A効果もあって前期のデジタルマーケティング事業は大きく伸び、売上高は100億円を超えました」
――御社の強みは何ですか。
「08年のマザーズ上場はリーマン・ショックの直後でした。上場を延期する企業もありましたが、当社にとって上場はゴールではなく、スタートと考え、厳しい状況の中でも上場を敢行しました。その後も東日本大震災、新型コロナ拡大で苦戦する局面もありましたが、それを超えてこれまで成長を継続しています。新型コロナに関しても、一時落ち込んだ後、前期にはV字回復を果たしました。この成長継続の背景には、現状の事業だけでなく、次の成長につながるような事業領域の獲得に向けた会社の組織づくり、基盤づくりに力を入れてきたことがあります。人材育成についても絶えずブラッシュアップし、よりよい方法を追求し、社員一人ひとりが成長し、力を発揮できる体制を構築するよう努めています。今後も会社の基盤強化と成長を同時に進め、さらなる拡大につなげていく考えです」
――海外展開はどのような状況ですか。
「12年に中国現地法人を設立し、海外展開を本格化しました。その後、蓄積したノウハウを生かしながら、現在では北米を中心に10カ国で展開しています。新型コロナで一時は苦戦しましたが、経済活動の回復につれて海外子会社も回復しています。特に発注元としては欧米の大企業から、調査先としてアジア、南米のサンプリングの需要が拡大中です。世界経済の中でアジア、南米の存在感は高まっており、今後も進出を検討する先進国大企業からの調査需要は拡大していくでしょう。一方、中国では社会情勢の変化もあり、なかなか難しい面もありますが、需要は大きく、現地のスタッフを中心として着実な事業展開を行っています」
提供:モーニングスター社
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