米8月小売売上高、前月比0.3%増―市場予想上回る

経済

2022/9/16 9:05

<チェックポイント>

●自動車が急回復、自動車・部品除くと0.3%減―市場予想下回る

●外食や食料品が堅調―ガソリンは大幅減

●過去3カ月のインフレ調整後の伸びは横ばい―市場は23年のリセッション入り懸念

 米商務省が15日に発表した8月の小売売上高(季節・営業日調整後)は前月比0.3%増の6833億ドルとなり、市場予想の平均値である0.1%減を上回った。一方、7月は0.4%減(改定前は横ばい)に改定された。インフレ調整後(8月インフレ率は前月比0.1%上昇)の伸びは0.2%増となる。

 月ごとに変動が大きいガソリンスタンドが大きく減少したが、自動車の新車販売が前月の減少から急回復した。また、インフレ加速に伴う値上げで、外食や食料品も増加に転じた。

 全13業種のうち、増加したのは8業種、減少した業種は5業種だった。

 月ごとに変動が大きい自動車・同部品のほか、外食(レストラン・バー)、食品・飲料水販売、百貨店やスーパーなどの量販店を含む一般小売販売、アパレルが伸びた。対照的に、ガソリンスタンドが2カ月連続で減少し、家具・生活用品、オンライン小売などは減少した。オンライン小売の減少は、アマゾン・ドットコムによるプライム会員向けセールの終了が響いた。

 自動車が全体指数を押し上げたため、自動車・同部品を除く小売売上高は前月比0.3%減となり、市場予想の横ばいを下回った。一方、ガソリンスタンドを除いた小売売上高は同0.8%増となった。

 ガソリンスタンドと自動車・同部品のほか、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比横ばいだった。コア小売売上高はGDP(国内総生産)を構成する個人消費支出の財支出に組み込まれる重要な指標。

 市場では、小売売上高の伸びが緩やかながら持ちこたえていることから、当面はリセッション(景気失速)の懸念はないとみており、20-21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.75ポイント(一部で1.00ポイント)の引き上げが決まるとの見方を変えていない。

 ただ、前年比では9.1%増と、前月の伸び(10.1%増)をやや下回った。過去3カ月間(6-8月)の売上高は前年比9.3%増で、前3カ月(3-5月)比では1.3%増となっているが、インフレ調整後の実質の伸びはほぼ横ばいとなり、消費は足踏み状態。このため、市場ではFRBが大幅利上げを継続すれば、23年にはリセッション入りする可能性があると懸念している。

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ