<新興国eye>チェコ中銀、政策金利を賛成多数で据え置き―2委員は0.75ポイントの利上げを主張

新興国

2022/11/4 9:26

 チェコ国立銀行(中銀)は3日の金融政策決定会合で、インフレ加速を抑制するため、政策金利の2週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを5対2の賛成多数で決めた。2委員は0.75ポイントの利上げを主張し、反対票を投じた。据え置きは市場の予想通りだった。

 中銀は最近のインフレ加速を受け、21年6月会合で20年2月以来、1年4カ月ぶりに利上げを再開。今年に入っても2、3、5月にそれぞれ0.75、0.5、0.75ポイント引き上げ、6月会合では1.25ポイントの大幅利上げを決めた。利上げ幅が計6.75ポイントに達したことから8月会合で据え置きに転じ、利上げサイクルは9会合連続で止まった。金利据え置きは3会合連続。7.00%の政策金利は90年4月9日(7.25%)以来32年ぶりの高水準となっている。

 中銀は会合後に発表した声明文で、据え置きを決めたことについて、前回9月会合時と同様、「政策金利水準は国内需要を弱める高い水準にあり、家計部門や企業への貸し付けの伸びを鈍化させ、経済のマネーサプライ(通貨供給量)の伸びも鈍化させている」とし、これまでの利上げ効果を見守りたい考えを示した。

 ただ、その一方で、中銀は高い金利水準が続いているため、「家計消費は高い金利と消費者マインドの低下、高騰するエネルギー・食品の価格で抑制されている。企業もエネルギーとコモディティ(国際相場商品)価格の上昇に直面しているため、今後、投資の伸びが鈍化する見通しだ」とし、景気の先行き懸念を示している。

 インフレ見通しについては、中銀は前回会合時と同様、「インフレ率は今後数カ月さらに上昇する。上昇の主な要因は電気とガスの価格だ」とした上で、「年末までに、前年比約20%上昇に達し、年間で15.8%上昇(前回予測は16.5%上昇)を予想している」とし、インフレが短期的に急加速すると見ている。ただ、前回会合時と同様、「今後1年半(23年後半)で約2%上昇にまで低下する」としている。最新の経済予測では23年は9.1%上昇(前回予測は9.5%上昇)、24年は2.4%上昇(同2.4%上昇)と予想している。

 金融政策の見通しについて、中銀は、「物価の長期安定は、適度な賃金上げ要求と責任のある財政政策にかかっている」とした上で、「(次回会合時までに入ってくる)新しい経済データと将来の経済見通しに基づいて、次の会合で金利を据え置くか、引き上げるかを決定する」とし、将来の引き上げには(予断を持たず)オープンなスタンスを維持している。ただ、中銀は、「インフレが十分に抑制されるまで、つまり2%上昇の物価目標で安定するまで、インフレとの戦いを続ける。これは金利がしばらくの間比較的高いままであることを意味する」とし、現在の高い水準で金利が当分の間、据え置かれる見通しを示唆した。

 また、中銀は通貨コルナ安がインフレを加速させるとし、これまで頻繁にコルナ安阻止の市場介入を実施しているが、今回の声明文でも、「コルナの過度の変動(特にコルナ安)を防止し続ける」とし、為替介入戦略を変更しない考えを改めて強調している。

 次回の会合は12月21日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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