<新興国eye>インドネシア中銀、予想通り0.25ポイント追加利上げ―小幅利上げに転換(1)

新興国

2022/12/23 9:13

 インドネシア中央銀行(BI)は22日の理事会で、通貨ルピアの安定とインフレ抑制を目指し、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を0.25ポイント引き上げ、5.50%にすることを決めた。利上げ幅は市場の大方の予想通りだった。ただ、一部では0.50ポイントの利上げや金利据え置きを予想していた。

 また、中銀は過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も4.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も6.25%と、いずれも同率引き上げた。

 中銀はコロナ禍が始まった20年2月、景気を支援するため、利下げに転換、21年2月までに利下げ幅が計1.50%ポイントに達したため、翌3月会合から据え置きに転じた。しかし、インフレ加速を受け、21年8月会合で3年9カ月ぶりに0.25ポイントの小幅利上げに転換、これで利上げは5会合連続となる。利上げ幅も計2.00ポイントに達した。中銀は前回11月会合まで3会合連続で0.50ポイントの大幅利上げを決めたが、今回は半分の0.25ポイントに縮小した。金利水準は19年以来3年ぶりの高水準となっている

 中銀は会合後に発表した声明文で、前回会合時と同様、「今回の徐々にゆっくりとした(measured)利上げ決定はインフレとインフレ期待の継続的な低下を確実にし、コアインフレ率を23年上期に物価目標(2-4%上昇)に収束させるための先制的かつ前向きな措置だ」とした上で、「ルピア相場の安定を強化することにより、ドル高の進行や、世界の金融市場の不確実性の高まりによる悪影響を緩和、輸入物価上昇を抑制するのに役立つ」とし、利上げにより、自国通貨を高目に誘導し、インフレを抑制する戦略を継続する考えを改めて強調している。

 市場では中銀が利上げ幅の縮小に転換したことについて、11月のインフレ率(全体指数)が前年比5.42%上昇と、10月の同5.71%上昇を下回ったことや、ルピアが今月はドルに対し、強含みとなったことを反映したと見ている。

 しかし、インフレ見通しについて、中銀は、「11月のインフレ率(全体指数)は前年比5.42%上昇と、前月の伸びを下回ったが、依然、3%プラス・マイナス1%の物価目標のレンジの上限(4%上昇)を超えている」とし、警戒感を緩めていない。中銀が重視する11月のコアインフレ率も同3.30%上昇と、10月の3.31%上昇をやや下回ったが、中銀は、「金融政策を強め、依然として高いインフレ期待を引き下げ、23年上期にコアインフレ率が物価目標に戻ることを確実にする」としている。

 世界各国、特に、FRB(米連邦準備制度理事会)は12月会合で0.50ポイントの積極利上げを実施、来年も利上げを継続することが予想されており、ドル高圧力の高まりが懸念されている。この点について、中銀は声明文で、前回会合時と同様、「FRBは23年初めにも利上げすることが予想されており、利上げ規模は小さいものの、利上げサイクルは長期化する見通しだ。(米金利高により)ドル高が進み、世界の金融市場の不確実性の高まるにつれ、インドネシアを含む新興市場への資本流入が弱まっている」とし、強い懸念を示している。(2)へつづく

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ