FOMC議事録、多くの委員が利上げ継続を強調―利上げ幅縮小が市場に誤解を与えないか懸念
2023/1/5 9:01
<チェックポイント>
●「23年のいつかの時点でリセッションの可能性」と指摘
●物価上昇は「容認できないほど高い」で意見が一致
●23年の利下げ開始が適切と考える委員はゼロ
FRB(米連邦準備制度理事会)が4日に公表した12月13-14日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録では、多くの委員がインフレとの戦いの必要性を強調した上で、利上げ継続が望ましいと判断していることが分かった。
前回のFOMCでは利上げ幅を0.5ポイントに抑えたが、議事録によると、「多くの委員は利上げペースを抑えたのは物価安定というFRBの使命を達成するという決意が弱まっていることを示すものではない」と強調。市場に誤解を与えないように細心の注意を払っている。
また、今回の利上げ幅縮小などが市場に誤解を生み、金融緩和の状況が引き起こされる可能性も指摘し、市場との対話が不十分となることに強い懸念を示した。当面は利上げを継続するという決意を過小評価すべきではないとしている。
今回の議事録では、FRBが失業率の上昇や経済成長率の鈍化という景気リスクをどの程度重視するかが注目されていたが、議事録によると数人の委員が景気よりインフレ抑制を優先するタカ派姿勢を示している。
インフレや景気の見通しについては、「インフレ率が上昇を続けており、インフレ見通しに対するリスクは上向きが続いている。23年にかけて予想される実質GDPの伸び悩みや抑制された世界経済見通し、持続的な金融引き締め状況により、景気リスクは下向きと見ている」とした。その上で、「23年のいつかの時点でリセッション(景気低迷)となる可能性がある」とし、従来のリセッションは五分五分という見方から一歩踏み込んでいる。
インフレの現状認識についても、「依然として容認できないほど高い」との認識で一致した。10月と11月のインフレ率は前月比の上昇ペースが低下したが、「インフレが持続的な下降経路にあると確信するには、さらに多くの証拠が必要になる」としている。
今後の金融政策の見通しについては、大半の委員が金融政策より制限的なスタンスに移行する際、柔軟に判断する必要性を強調。複数の委員は将来の政策決定が経済データや経済活動とインフレの見通しに基づき、会合ごとに決定を下すべきとし、次回2月会合でどの程度の利上げペースになるかについては明示を避けた。市場では2月会合で0.25ポイントの利上げを予想している。
また、議事録では、「23年に利下げ開始が適切と考えている委員はいなかった」としている。
提供:モーニングスター社
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