<新興国eye>インドネシア中銀、予想通り0.25ポイント追加利上げ―利上げ継続を示唆
2023/1/20 9:03
インドネシア中央銀行(BI)は19日の理事会で、通貨ルピアの安定とインフレ抑制を目指し、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を0.25ポイント引き上げ、5.75%にすることを決めた。利上げ幅は市場の大方の予想通りだった。一部では金利据え置きを予想していた。
また、中銀は過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も5.00%、翌日物貸出ファシリティー金利も6.50%と、いずれも同率引き上げた。
中銀はコロナ禍が始まった20年2月、景気を支援するため、利下げに転換、21年2月までに利下げ幅が計1.50%ポイントに達したため、翌3月会合から据え置きに転じた。しかし、インフレ加速を受け、21年8月会合で3年9カ月ぶりに0.25ポイントの小幅利上げに転換、これで利上げは6会合連続となる。利上げ幅も計2.25ポイントに達した。中銀は22年11月会合まで3会合連続で0.50ポイントの大幅利上げを決めたが、前回12月会合で半分の0.25ポイントに縮小しており、今回の同率の小幅利上げは2会合連続。金利水準は19年以来3年ぶりの高水準となっている
中銀は会合後に発表した声明文で、前回会合時と同様、「今回の徐々にゆっくりとした(measured)利上げ決定はインフレとインフレ期待の継続的な低下を確実にし、コアインフレ率を23年上期に物価目標(2-4%上昇)に収束させための先制的かつ前向きな措置だ」とした上で、「インフレ、特に輸入インフレを抑制するための努力の一環として、ルピア相場の安定化を強化する」とし、利上げにより、自国通貨を高目に誘導し、インフレを抑制する戦略を継続する考えを改めて強調している。
市場では中銀が今回の会合でも小幅利上げを維持したことについて、12月のインフレ率が中銀予測よりも大幅に鈍化したことや、ルピアが景気回復を背景にドルに対し、強含みとなったことを反映したと見ている。実際、12月のインフレ率(全体指数)が前年比5.51%上昇と、11月の同5.42%上昇を上回ったが、中銀予測(6.50%上昇)を下回った。コア指数も3.36%上昇と、中銀予測(4.61%上昇)を大幅に下回った。また、中銀はルピア相場について、「今年初め、ルピアは上昇、1月18日時点で22年12月の水準に比べ、3.18%、平均で1.20%上昇しており、ルピア相場の上昇が経済の安定を支えた」と指摘している。
今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「景気回復の勢いを維持するため、ポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を強化する」とした上で、「外為市場での介入を通じ、インフレ、特に輸入インフレを抑制するため、ルピア相場の安定化を強化する」とし、ルピア安阻止のドル売り・ルピア買いの市場介入を行う考え。また、中銀は、「引き続き、流通市場でのSBN(短期国債)の売買を通じ、SBNの短期の利回りを引き上げ、海外からのポートフォリオ投資の魅力を高め、ルピア相場の安定を強化する」としている。
インフレ見通しについて、中銀は、「今年上期のコア指数が3%プラス・マイナス1%の物価目標の範囲内にとどまり、今年下期には全体指数は物価目標に戻ると考えている」としたが、「引き続き、金融政策を強化し、インフレの抑制を確実にするため、政府との政策連携を継続する」とし、利上げ継続に含みを残した。ただ、市場では中銀は輸出が8月をピークに縮小傾向にあるため、景気にも配慮し始めており、利上げサイクルが終了に近づいた可能性があると見ている。
景気の見通しについて、中銀は前回会合時と同様、「国内経済の改善はますます強い内需にけん引されている」とした上で、「22年の経済成長率は中銀予測の4.5-5.3%増のレンジの上限近くになる」との見通しを据え置いた。また、「23年の成長率は世界経済の減速に伴い、4.5-5.3%増のレンジの半ばまでにやや鈍化するが、力強い成長が続く」との予想も据え置いた。
次回会合は2月15-16日に開かれる予定。
<関連銘柄>
アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>、アセアン50<2043.T>
提供:モーニングスター社
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