<新興国eye>ハンガリー中銀、予想通り金利据え置き―4会合連続

新興国

2023/1/25 8:57

 ハンガリー中央銀行は24日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を13.00%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 他の政策金利も同様に、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を12.50%、上限を示す翌日物有担保貸出金利を25.00%と、いずれも据え置いた。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)以降、インフレ抑制のため、ベース金利の引き上げを継続。直近では22年6月会合で1.85ポイントの大幅利上げを決め、翌7月12日の臨時会合でも2.00ポイントの大幅利上げを決めている。9月会合でも1.25ポイント引き上げたが、10月会合から据え置き転換、利上げは17会合連続で止まった。これで据え置きは4会合連続。利上げ幅は計12.40ポイントに達し、金利水準も99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となっている。

 中銀は会合後の声明文で、金利を据え置いたことについて、「ベース金利の現在の水準はインフレリスクの管理に適切な水準だ」とした上で、「(現在の)引き締め的な金融環境は(通貨フォリント安の進行など外部ショックが足元のインフレ率をさらに上昇させる)二次的なインフレの影響を回避し、インフレ期待を安定させることに寄与する」としている。

 インフレ率は、22年12月のインフレ率は全体指数が前年比24.5%上昇(11月は同22.5%%上昇)、コア指数は同24.8%上昇(同23.9%上昇)と、いずれも11月を上回ったが、中銀は、「インフレ加速は大半が燃料価格の上昇だった。インフレ期待は引き続き上昇しているが、小売価格とサービス価格に対する企業のインフレ期待は夏をピークに低下している」とし、インフレはピークを過ぎたと見ている。

 その上で、インフレ見通しについて、中銀は前回12月会合時と同様、「インフレ率は23年前半にゆっくりと低下し、年央からさらに大幅に低下する。24年前半には物価目標の範囲内に戻る」との見通しを据え置いた。

 中銀は今後の金融政策について、前回会合時と同様、「インフレ期待を安定させ、物価目標を持続的に達成するためには、長期にわたって(現在の)金融引き締めを維持する必要がある」とし、据え置きを継続する考えを示した。

 また、中銀は22年10月14日に、通貨フォリントの急落を阻止するため、緊急導入した1日物預金ファシリティの入札適用金利も18%に据え置いた。これについて、中銀は、「金融政策の伝達を強化するとともに、金融市場の安定を確保するため」とし、「10月中旬に導入された金融ファシリティの現在の条件(入札時の適用金利)はリスク認識が改善するまで維持される」としている。

 ただ、市場では中銀は金融政策を早く正常化したい考えがあり、最近では通貨フォリントが主要通貨に対し、7カ月ぶり高値まで上昇しているため、1日物預金への適用金利を政策金利近くまで引き下げやすくなったとして、同金利は1カ月後に0.4ポイント、3か月後で2.0ポイント引き下げられると予想している。

 次回の金融政策決定会合は2月28日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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