FOMC議事録、多くの委員が利上げ継続を主張―0.5ポイントの利上げに前向きな委員も

経済

2023/2/24 9:56

<チェックポイント>

●過去3カ月間のインフレ鈍化は認識も、持続的と確信するには多くの証拠必要と

●23年にリセッションのリスク高が、利上げペース調整で回避できると指摘

●一部委員は0.5ポイントの利上げに前向き

 FRB(米連邦準備制度理事会)が22日に公表した、1月31-2月1日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録では、多くの委員がインフレの高さを指摘し、引き続きインフレとの戦いが必要とした上で、利上げ継続が望ましいと判断していることが分かった。

 議事録では、過去3カ月間のインフレ指標が鈍化しているとの認識を示した一方、インフレ鈍化が持続的と確信するための多くの証拠が必要とし、利上げサイクル継続の必要性を強調した。

 また、広範な金融環境と、インフレ率を2%上昇の物価目標に戻すために、さらなる金融引き締めが必要と指摘した。パウエルFRB議長も2月会合後の会見で、「22年以降、利上げにより金融を引き締めてきたが、短期的な金融環境の変化ではなく、持続的な変化に焦点を合わせている」と述べている。

 議事録では、22年3月から始まった利上げサイクルが今後、米経済のリセッション(景気失速)を引き起こすとの懸念も示された。一部の委員が23年にリセッション(景気後退)に陥るリスクが高いと主張。一方、大半の委員は利上げペースを調整することでリスクを回避できるとし、ソフトランディング(緩やかな調整)を達成できるとした。また、複数の委員は景気見通しに対するリスクのバランスが取れていると主張した。

 また、複数の委員が0.5ポイントの利上げに前向きだったことも分かった。何人が主張していたかは明らかではないが、会合後のFRB高官による講演会をでは、メスター米クリーブランド連銀総裁とブラード米セントルイス連銀総裁が0.5ポイントの利上げの必要性を主張している。

 議事録では、多くの委員が利上げペースを鈍化させることで、最大雇用と物価安定というFRBの目標を達成するための経済の動向の判断が容易になると指摘しており、市場では次回3月会合でも0.25ポイントの利上げを実施するとの見方が依然多い。ただ、米先物取引所大手CMEグループが公表している「FED WATCH」をみると、1カ月前はほとんどゼロに近かった0.5ポイントの利上げ確率が直近では20%を超えている。

 議事録では経済やインフレの先行きについて、長引くロシアとウクライナの紛争の影響で不透明感が高いとした。

提供:モーニングスター社

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