RBA、政策金利を0.25ポイント引き上げ―市場予想通り

経済

2023/3/7 14:47

<チェックポイント>

●ロウ総裁、利上げ継続が必要との考え示すも、インフレ率はピークと予想

●国内経済の成長は減速しているとの認識

●今後の利上げ時期や程度に言及―市場、利上げサイクルの一時停止が近づいたと

 豪準備銀行(RBA、中銀)は7日の理事会で、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、3.6%とすることを決めた。市場予想通りだった。利上げは10会合連続で、0.25ポイントの利上げは5会合連続。

 市中銀行のRBAへの預入残高である為替決済(ES)バランス(銀行間決済口座)に適用される公定レートも同率引き上げ、3.50%とした。

 ロウ総裁は、豪州のインフレ率がピークに達し、今後数カ月は商品価格のインフレ率が緩やかになると予想しているが、「サービス価格のインフレ率は依然高く、夏には一部のサービスに対する強い需要が予想される」とし、前回2月会合時と同様、強い内需抑制のための利上げ継続が重要との考えを強調した。

 ただ、中期のインフレ見通しついては、23年と24年に低下し、25年半ばには約3%上昇になると予想するなど、やや楽観的に見ている。その上で、ロウ総裁は、「中期的なインフレ期待は引き続き安定しており、この状態が続くことが重要だ」と指摘した。

 今後の金融政策については、高インフレが国民生活を困難にするとして、景気よりもインフレ抑制を優先する方針を継続。一方、「金利をいつ、どの程度引き上げるかを決めるにあたり、世界経済や家計支出の動向、インフレと雇用市場の見通しに細心の注意を払う」とし、今回の会合で初めて「いつ(when)」という文言をつけ加えた。これを受け、市場では利上げサイクルの一時停止が近づいたと見て、豪ドルが米ドルに対し下落。債券市場では3年国債利回りが低下した。

 国内景気の見通しについては、経済成長が減速しているとの認識を示した上で、「金融引き締めの環境により、家計消費の伸びが鈍化、住宅建設の見通しも軟化している」と警戒感を示している。最新の2月経済予測ではGDP成長率は23年と24年に約1.5%増に減速すると予想している。

 労働市場について、同総裁は、前回会合時と同様、「失業率は(74年以来)50年ぶりの低水準となっている」としたが、「今後は経済成長の鈍化に伴い、失業率の上昇が予想される」とした。最新の経済予測では失業率が23年末までに3.75%、25年半ばまでに4.5%に上昇すると予想している。

 他方、賃金インフレについて、同総裁は前回会合時と同様、「賃金の伸びは、最近の低水準から回復し続けており、労働市場の逼迫とインフレ上昇により、さらなる上昇が予想される」とし、「今後も人件費の動向と企業の価格設定行動(価格転嫁)の両方に細心の注意を払う」と、警戒感を示した。

 次回会合は4月4日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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