米3月中古住宅販売件数、前月比2.4%減の年率444万件―市場予想下回る
2023/4/21 9:05
<チェックポイント>
●住宅価格は前月比3.3%上昇と、2カ月連続で加速
●住宅在庫は2.6カ月分と2月と変わらず
●NARはFRBの利下げサイクル停止見込み先行き楽観視
NAR(全米不動産業協会)が20日に発表した3月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は前月比2.4%減の年率換算444万件となり、市場予想の平均値である450万件を下回った。2月の13.8%増(改定値)から減少に転じ、9カ月連続の500万件割れ。季節要因を無視できる前年比は22%減と、20カ月連続で前年水準を下回った。
住宅供給の過不足感を示す未販売住宅(在庫)は、前月比1.0%増の98万件と、前月の同1.0%減から増加に転じた。販売物件が3月中に市場に残っていた期間は29日間で、販売ペースは34日間だった2月より早まったが、販売ペースで換算した3月の在庫水準は2.6カ月分と、前月と変わらない。
住宅価格(中央値)は前月比3.3%上昇の37万5700ドルと、2カ月連続で上昇した。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「1件の中古住宅に複数の購入希望者が殺到している。需要を完全に満たすためには多くの住宅供給が必要だ」と指摘。中古住宅の所有者が持ち家の売却に慎重となり、供給不足を引き起こしていると見ている。
ヤン氏は、今後の見通しについて、「全体指数でみたインフレ率が鈍化していることや、家賃も堅調なアパート建築で伸びが鈍化すると予想されるため、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策は今後12カ月で、引き締めから中立(金利据え置き)にシフト、または緩和(利下げ)する」とした上で、「今後数カ月、販売件数が変動するものの、住宅販売は着実に回復する」とし、楽観的に見ている。
ただ、市場では、住宅ローン金利が低下するタイミングで住宅販売が急増する可能性があるものの、深刻な住宅在庫不足に加え、住宅ローン金利が3月以降、上昇傾向にあること、さらには景気の先行き不透明なこと、最近の銀行危機を受け、住宅ローンの審査基準が厳しくなる可能性などを考えると、目先の販売見通しについては悲観的に見ている。
提供:ウエルスアドバイザー社
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