<新興国eye>ロシア中銀、予想通り金利据え置きもタカ派姿勢を維持―インフレ抑制で利上げに含み(2)

新興国

2023/5/2 9:03

(1)からつづく

 今後のインフレ見通しについては、中銀は、「今後数カ月でインフレ率は(前年同月のインフレ率が高かったため低めの数値が出る)いわゆるベース効果で前年比4.0%上昇を下回る」とし、その上で、「金融政策スタンスを考慮すると、インフレ率は23年に4.5-6.5%上昇(前回会合時の予想は5.0-7.0%上昇)となり、24年には物価目標の4.0%上昇に戻る」とし、23年のインフレ見通しを上方修正(改善方向)した。

 ただ、インフレ加速リスクについて、中銀は前回会合時と同様、「(西側による)貿易・金融制裁の強化がロシアの輸出品に対する需要を弱め、為替相場の変動(通貨ルーブル安)を通じ、インフレを加速させる可能性がある」とし、ウクライナ戦争をめぐる西側の経済制裁の強化がインフレ上振れリスクと指摘。また、「財政赤字が想定よりもさらに拡大した場合、インフレ上振れ促リスクが高まる」とし、その上で、「24年にインフレ率を物価目標(4.0%上昇)に戻し、その後、4.0%上昇近くで維持するには金融政策の引き締めが必要になる可能性がある」と警告している。

 さらに、中銀は前回会合時と同様、労働市場のひっ迫も依然、インフレリスクと指摘。ウクライナ戦争の拡大に伴う30万人の兵士動員や国外脱出の増加により、労働者不足に陥っているためだ。中銀は、「一部のセクターでは労働力が不足しており、実質賃金の伸びが労働生産性の伸びを上回る可能性がある。(このため)労働市場によるインフレ上振れリスクが続いている」と警戒している。

 市場では今年の財政政策が中銀の金融政策を決め、財政支出の拡大が続けば、7月以降、これまでの金融緩和スタンスを引き締めに変更する可能性があると見ている。一部では今後数カ月で利上げに転換するとの見方の一方で、反対に今年末まで政策金利が据え置かれるとの予想もあり、見方が分かれている。

 また、中銀は今回の会合で最新の経済予測を明らかにした。それによると、インフレ見通しは23年が3.9-4.8%上昇、24年は4.2-5.2%上昇、25年は4.0%上昇と予想。政策金利は23年が7.3-8.2%、24年は6.5-7.5%、25年は5.0-6.0%と予想している。GDP(国内総生産)は23年が0.5-2.0%増、24年は0.5-2.5%増と予想、24年末には21年後半の水準に達し、25年に1.5-2.5%増のペースで成長し続けると見ている。

 次回の定例会合は6月9日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 RTS連動<1324.T>、WTI原油<1671.T>、ガス<1689.T>、

 原油<1690.T>、野村原油<1699.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ