米4月中古住宅販売件数、前月比3.4%減の年率428万戸―市場予想をやや下回る
2023/5/19 9:09
<チェックポイント>
●3月分は444万件から443万件に微修正
●未販売住宅は増加も供給不足感は否めず
●NAR、「1件に複数の購入オファーが集中する状況」と
NAR(全米不動産業協会)が18日に発表した4月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比3.4%減の年率換算428万件となり、市場予想の平均値である430万件をやや下回った。前年比は23.2%減となる。また、3月分は速報値の444万件(前月比2.4%減)から443万件(同2.6%減)に改定された。
住宅供給の過不足感を示す4月時点の未販売住宅(在庫)は、前月比7.2%増の104万件と、22年11月の112万件以来の高水準となったが、05年の住宅ブーム時の200万件を48%下回る水準。4月中に販売された物件のうち、全体の73%(3月は65%)が市場に出てから1カ月弱で販売されており、需要に比べて供給が足りている状況とはいえない。4月の販売ペースで換算した在庫水準は2.9カ月分と、3月の2.6カ月を上回ったものの、適正水準とされる5-6カ月分を大きく下回る状況が続いている。
4月の住宅価格(中央値)は前月比3.6%上昇の38万8800ドルと、3カ月連続で伸びが加速した。主力の一戸建は前月比3.6%上昇の39万3300ドルと、3カ月連続で上昇している。住宅価格が下がりにくい要因として、格安なフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)物件やショートセールズ(フォークロージャー手続きに進む前の早い段階で債務者と債権者が協議して住宅を任意売却)物件などのディストレスト物件の供給が細っており、住宅価格が下がりにくい状況となっている。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「住宅価格が安い市場、物価水準の高い西部地域でも春の住宅シーズンには1件に複数の購入オファーが集まっている」とした。
市場では、住宅ローン金利の上昇で低金利時に中古住宅を購入した所有者が持ち家の売却に慎重となっており、それが供給不足を引き起こしていると見ている。また、住宅ローン金利が低下するタイミングで住宅販売が急増する可能性があるものの、深刻な住宅在庫不足に加え、住宅ローン金利が高止まりしていることや、景気の先行きが不透明なこと、最近の銀行危機を受け、住宅ローンの審査基準が厳しくなる可能性などを考えると、消費者は住宅を購入するには時期が悪いとの見方がある。
提供:ウエルスアドバイザー社
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