<新興国eye>前週のインド株、輸出悪化懸念や利食い売りを受け反落=BRICs市況

新興国

2023/5/22 8:57

 前週(15-19日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の19日終値は前日比0.49%高の6万1729.68、週間ベースでは12日終値比0.48%安と、反落した。

 週明け15日は指数が続伸。翌16日は反落した。18日まで3日続落。

 週前半は、4月のインフレ率が前年比4.7%上昇と、18カ月ぶりの低い伸びとなったことや、政府が23年度成長率見通しについて、6.5%増の目標達成は可能と発表したことが好感され、買いが優勢となった。外国人投資家の買い越しが14営業日連続となったことも支援材料。個別銘柄では自動車大手タタ・モーターズと不動産開発大手DLFが好決算を受け、急伸、上げを主導した。その後は、これまでの相場上昇を受け、高値警戒感から利食い売りが強まった。また、4月貿易収支で輸出と輸入の伸びが前年比でそれぞれ12.7%減、14.1%減と、前月に続き、いずれも減少したことも嫌気された。大型株の複合企業大手リライアンス・インダストリーズと住宅金融大手ハウジング・デベロップメント・ファイナンス(HDFC)が下げを主導。

 週後半は、引き続き、輸出悪化懸念や高値警戒感から利食い売りが強まった。また、中国の経済指標の悪化や、6月1日の米政府のデフォルト(債務不履行)懸念も売り材料。塗料最大手アジア・ペインツやIT大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)とHCLテクノロジーズ、インフォシスなどが下落、下げをけん引した。その後は、景気の先行き懸念が強まり、利益確定売りが優勢となった。政府が海外でのクレジット決済上限など規制を強化する動きも嫌気された。個別銘柄ではインド最大のたばこメーカーITCが四半期決算後に急落、宝飾品大手タイタンや自動車大手マヒンドラ・アンド・マヒンドラ、営送電大手パワー・グリッド、自動車大手タタ・モーターズも下落、下げをけん引。

 週末19日は反発。インド最高裁の調査委員会が複合企業大手ゴータム・アダニ・グループの市場操作による株価吊り上げ疑惑を特定できないとの判断を示したことを受け、アダニグループ傘下企業が軒並み急伸、上げを主導。自動車とITも買い直された。アダニはウォッシュトレーディングという株価操作により、取引が活発に行われているように見せる仮想取引の疑惑を持たれていたが、調査委はそうした証拠は見つからなかったとしている。

 今週(22-26日)のインド市場はウクライナ戦争と西側の対ロ制裁、原油価格の動向、世界経済、特に米・中・欧の景気動向や金融政策、米中関係、インド国内のインフレ動向、主要企業ニュース、欧米の金融不安の動向、インド太平洋経済枠組み(IPEF)閣僚級会合(27日)も注目される。主な経済指標の発表予定はない。

<関連銘柄>

 インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、インドベア<2047.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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