<新興国eye>ハンガリー中銀、上限金利と超過準備預金金利を1ポイント下げ―ベース金利は据え置き

新興国

2023/5/24 8:53

 ハンガリー中央銀行は23日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を13.00%に据え置くことを決めた。他の主要政策金利はベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利が12.50%に据え置かれたが、上限を示す翌日物有担保貸出金利を1.00ポイント引き下げ、19.50%とした。予想通りだった。

 中銀はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)以降、インフレ抑制のため、ベース金利の引き上げを継続。22年6月会合で1.85ポイント、翌7月12日の臨時会合で2.00ポイント、同9月会合で1.25ポイント引き上げた。同10月会合から据え置き転換、利上げは17会合連続で止まったが、利上げ幅は計12.40ポイントに達し、金利水準も99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となっている。ベース金利の据え置きはこれで8会合連続。レンジの上限金利は2会合連続の引き下げとなる。

 また、中銀は今回の会合からベース金利のオプションとして、高目に設定されている超過準備預金への付利金利を現行の18.00%から17.00%に、24日から1.00ポイント引き下げることを決めた。引き下げは3年ぶり。

 これは金融システムの流動性を緩和方向に調整する措置で、中銀は会合後の声明文で、「最近、国内金融市場の安定性は持続的かつ大幅に改善した。ここ数カ月間、先進国の銀行システムの混乱は全世界に波及していない」とした上で、「こうした(金融危機やインフレなどの)リスク認識の改善により、中銀は金融政策の正常化に向け、追加措置を講じることが可能となった」とし、金融政策の正常化に向けた金融緩和措置であることを強調している。

 ベース金利を据え置いたことについて、中銀は前回4月会合時と同様、「ベース金利の現在の水準はインフレリスクを管理するのに適切な水準だ」とした上で、今後の金融政策についても、前回会合時と同様、「インフレ期待を安定させ、物価目標を持続的に達成するためには、長期にわたって(現在の)金融引き締めを維持する必要がある」とし、据え置きを継続する考えを示している。

 しかし、市場では中銀が上限金利に加え、今回の会合で超過準備預金の金利を引き下げたことを受け、ハンガリー中銀が欧州で利下げを最初に開始する体制に入ったと見ている。ビクトル・オルバン首相は景気を刺激するため、早期の利下げを求めて中銀と対立していることもあり、インフレ率がピークを過ぎた4-6月期から利下げに転換、年末までに政策金利は最大1.75ポイント低下すると予想している。

 次回の金融政策決定会合は6月20日に開かれる予定。

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 上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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