米4月新築住宅販売件数、前月比4.1%増の68.3万件―市場予想上回る

経済

2023/5/24 9:02

<チェックポイント>

●中古住宅の供給不足で新築住宅市場への流入続く

●住宅価格は前月比7.7%低下―アフォーダビリティ改善

●住宅在庫は増加もすぐ販売可能な住宅は限定的

 米商務省が23日に発表した4月の新築住宅販売件数(季節調整済み)は、前月比4.1%増の年率換算68万3000件となり、22年3月(70万7000件)以来、1年1カ月ぶりの高水準となった。また、市場予想の平均値である66万5000件を上回った。前年比は11.8%増と、14カ月ぶりに前年水準を上回った。過去分については、3月分が68万3000件から65万6000件に下方改定された一方、2月分は62万3000件から63万1000件に上方改定されている。

 市場では、住宅ローン金利が高止まりするなか、住宅所有者が売り出しをためらって中古住宅市場の供給が減少しており、新築住宅へのシフトが続いていると見ている。

 販売件数の内訳は、着工前時点での販売件数(受注残)が前月比35%増の15万5000件、建築中の住宅販売件数は同4.7%減の26万6000件、完成住宅の販売件数は同横ばいの26万2000件となった。

 住宅価格は中央値(季節調整前)で、前月比7.7%低下の42万800ドルと3カ月ぶりに低下し、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が改善した。販売価格帯を見ると、40万ドル以上の高額物件の販売比率が53%(3月の61%)となった一方、40万ドル未満の手ごろ物件比率が47%(前月の39%)となり、住宅販売価格の低下に寄与した。

 新築住宅在庫は前月比0.2%増の43万3000件と6カ月ぶりに増加し、販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は7.6カ月相当と、住宅建築業界が需要と供給のバランスが取れた容認可能な水準とする6カ月相当を上回った。

 ただ、住宅在庫のうち、すぐに販売できる完成件数は前月比横ばいの7万件と、在庫全体の16.2%にとどまる。未着工件数は10万件と全体の23%、建築中件数は26万3000件と全体の61%で、サプライチェーンの問題や労働者の確保が困難となって建築が進みにくくなっている。

 在庫全体では住宅バブル期の在庫水準である45万件に迫るが、フレディマック(連邦住宅金融抵当公庫)は、現在の住宅取得需要の強さから、住宅供給は最大400万件不足していると試算している。

 市場では、中古住宅の供給不足が深刻化しているため、今後も住宅取得希望者の新築住宅市場への流入が進むと見ている。

提供:ウエルスアドバイザー社

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