ECB、政策金利を0.25ポイント利上げ―次回9月会合で休止の可能性示唆

経済

2023/7/28 9:44

<チェック・ポイント>

●9会合連続の利上げ、金利水準は22年ぶりの高さに

●ECB総裁、「利上げか休止かはこれから決める」

●一部はECBのハト派へのシフトが近いと

 欧州中央銀行(ECB)は27日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.25ポイント引き上げ、4.25%とすることを全員一致で決めた。市場予想通りだった。利上げは9会合連続。金利水準は2001年5月の4.50%以来、22年ぶり。

 ECBは前回会合同様、インフレ率が低下傾向にあるものの、長期にわたって高い水準を維持すると予想されるため、利上げを継続したとしている。

 ただ、今回の声明では、ニュアンスに若干の変化がみられた。ECBは前回の声明文で、今後の金融政策のフォワードガイダンス(金融政策の指針)について、インフレ率2%上昇の目標達成に向け、「政策金利を十分に制限的な水準に引き上げる」としていたが、今回は「制限的な水準に設定する」とした。

 市場では、ECBが必ずしも追加利上げを想定していないとし、利上げ打ち止めを示唆しているとみている。また、ECBはこれまでの利上げ効果が現れ始めているとの認識も示しており、ドイツを中心に景気に落ち着きがみられることから、ハト派(金融緩和派)にシフトするのも近いとの見方もある。

 ECBのラガルド総裁は会見で、「ユーロ圏経済は短期的には低迷すると予想される」と警告した上で、「今後、金利に対してはデータに依存したアプローチをとる」と述べた。総裁は次回9月会合の見通しについて、利下げこそ明確に否定したが、「利上げするか据え置くかはこれから決める」としている。

 また、ECBは今回の会合で、金融政策ツールの一つである銀行の最低準備金に付与する金利を0%に引き下げることを明らかにした。最低準備金は市場金利を安定させるため、金融機関に各国中銀へ預金させることにより、市場から資金を吸収させる仕組みだが、銀行への金利支払いを停止することにより、銀行が得られる金利収入が減少し、主要リファイナンス金利の引き上げの効果がより高まる。ECBは声明文で、「利上げ決定が短期金融市場に完全に伝わることを保証することにより、金融政策の有効性を維持する」としている。

 次回の会合は9月14日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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