<新興国eye>前週のブラジル株、予想上回る4-6月期GDP伸び率を受け続伸=BRICs市況

新興国

2023/9/4 8:57

 前週(8月28日-9月1日)のブラジル株式市場は1日のボベスパ指数が前日比1.86%高の11万7893、週間ベースでは8月25日終値比1.77%高と、続伸した。

 週明け28日は指数が上昇、翌29日も続伸した。30日は反落、31日も続落した。

 週前半は、重要な貿易相手国である中国が株式市場活性化策や住宅市場支援策を発表したことを好感、買いが優勢となった。また、ブラジル中銀の経済週報「フォーカス・ブルティン」で、23年実質GDP伸び率の見通しが前週予想の2.29%増から2.31%増に引き上げられたことも支援材料となった。個別銘柄では金融大手のブラデスコとイタウ・ウニバンコ、鉱山大手ヴァーレが堅調となり、上げをけん引。その後は、個人や企業が海外で儲けた所得(オフショア利益)への15-20%課税法案の議会提出が好感され、買いが強まった。鉱山大手ヴァーレが引き続き堅調となったことに加え、食肉加工大手マルフリグ・グローバル・フーズが食肉生産・販売大手ミネルバへの一部資産の売却合意を受け、急騰、上げを主導した。

 週後半は、政府の24年度予算案の提出を控え、財政赤字がどこまで膨らむか見たいという様子見気分が広がり、売りが強まった。ただ、米国の7月雇用動態調査で求人件数が3カ月連続で減少したことや、米4-6月期GDP伸び率が速報値の前期比年率換算2.4%増から2.1%増に下方改定されたことを受け、FRB(米連邦準備制度理事会)の次回9月会合での追加利上げ懸念が後退したため、下げは限定的となった。その後は、貿易相手国の中国の弱い経済指標を受け、ブラジルの対中輸出に悪影響が及ぶとの観測で売りが広がった。中国の8月製造業PMI(購買担当者景気指数)は49.7と、好不況の分かれ目となる50を5カ月連続で下回った。また、政府の24年度予算案をめぐる財政赤字懸念も売り材料となった。

 9月相場入りした週末1日は急反発。ブラジルの4-6月期GDP伸び率が前期比0.9%増(前年比3.4%増)と、市場予想(前期比0.3%増)を大幅に上回り、サプライズとなったことが好感され、買いが優勢となった。これを受け、旅行大手のCVCと小売り大手ロハス・レナーなど消費関連の銘柄が急騰、上げをけん引。

 今週(4-8日)の株式市場は、ウクライナ情勢や西側の対ロ追加制裁、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策なども注目される。主な経済指標の発表予定は4日の8月IPC-Fipeインフレ指数(サンパウロ大学経済研究所が発表する消費者物価指数)や5日の7月鉱工業生産と8月S&Pグルーバル・ブラジル非製造業PMI(購買担当者景気指数)、6日の8月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGP-DIインフレ指数(全国卸売物価指数)など。7日は「独立記念日」の祝日のため、休場となる。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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