ECB、政策金利を0.25ポイント引き上げ―次回から利上げ休止の可能性

経済

2023/9/15 8:57

<チェック・ポイント>

●一部委員は利上げ停止を主張

●現行の金利水準が物価目標に戻るための大きく寄与―利上げ停止を示唆

●市場、次回10月会合で利上げ休止を予想

 欧州中央銀行(ECB)は14日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.25ポイント引き上げ、4.50%とすることを決めた。市場の予想通りだった。利上げは10会合連続。

 ただ、ECBのラガルド総裁は会見で、一部の委員が今回の会合で利上げの一時停止を提案していたとして、今回の利上げが全員一致ではなかったことを明らかにした。据え置きを主張した委員は、前回までの利上げの効果を見極めるまで一時停止を望んでいたとしている。

 ECBのラガルド総裁は会合後の会見で、最後の利上げとなるかどうかについて、「ECBは金利をどの程度まで引き上げるべきか、また、その水準をどの程度の期間維持すべきかについてはデータに依存したアプローチをとる」とし、FRB(米連邦準備制度理事会)と同様に今後の金融政策に利上げか停止かの選択肢を残した。

 一方、声明文においては、現行の金利水準について、「維持されればインフレ率が物価目標(2%上昇)に戻るのに大きく寄与する」とし、今後、追加利上げを一時停止、または終了する可能性を示唆している。

 ECBは23年のインフレ率を平均で5.6%上昇(前回6月予測は5.4%上昇)、24年で3.2%上昇(同3.0%上昇)、25年で2.1%上昇(同2.2%上昇)とした。23年と24年はエネルギー価格の上昇を反映し、上方修正(悪化)したが、25年は下方修正(改善)している。

 インフレ率のコア指数の見通しについては、23年で5.1%上昇(同5.1%上昇)、24年で2.9%上昇(同3.0%上昇)、25年で2.2%上昇(同2.5%上昇)と、24年と25年をやや下方修正(改善)した。その上で、「過去の累積的な利上げの効果が続いている」との認識を示している。

 他方、ユーロ圏の景気見通しについては、23年を0.7%増(前回6月予測は0.9%増)、24年を1.0%増(同1.5%増)、25年を1.5%増(同1.6%増)と下方修正し、景気の先行きに強い懸念を示した。利上げの影響で需要が抑制され、内需や貿易環境が落ち着くとした。

 市場では、ECBが最新の9月経済予測で23年と24年のインフレ見通しを悪化方向に引き上げたことから、次回会合で金利据え置き(利上げサイクルの停止)に転換すると予想している。

 次回の会合は10月26日に開かれる予定。

提供:ウエルスアドバイザー社

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