<新興国eye>マレーシア中銀、予想通り金利据え置き―景気支援を優先

新興国

2023/11/6 9:18

 バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は前週(2日)の金融政策決定会合で、景気を支援するため、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を3.00%に据え置いた。市場の予想通りだった。

 中銀は今年1月会合で22年3月以来、5会合(10カ月)ぶりに据え置きに転換。3月も2会合連続で据え置いたが、5月会合で予想に反し、追加利上げ(0.25ポイント)を実施、金利水準をコロナ禍前の19年11月(3.00%)以来の水準に戻している。今回の据え置き決定は前回9月会合に続き、3会合連続。

 中銀は会合後に発表した声明文で、据え置きを決めたことについて、前回会合時と同様、「中銀の金融政策スタンスは現在の金利水準で、引き続き景気を支援している」とした上で、「物価安定の下で持続可能な経済成長を維持し続けることを保証する」とし、景気下振れリスクに配慮し、景気を優先したことを強調している。

 また、市場では最近のインフレ低下(9月は前年比1.9%上昇と、30カ月ぶりの低水準)が中銀に金利据え置きの余地を与えたと見ている。中銀はインフレ見通しについて、「7-9月期のインフレ率は全体指数が前年比2.0%上昇、コア指数が同2.5%上昇となった。24年に入ってもインフレは緩やかな伸びにとどまる」と、インフレ低下が続くと予想している。

 中銀は通貨リンギット安を阻止するため、利上げにより米金利との格差を縮めるか、または、景気を支援するため、利下げするかの二者択一に直面しており、金融政策の舵取りが難しくなっている。ただ、中銀は0.25ポイント程度の利上げでは米国との金利差は解消しないと判断しており、声明文で、「外為市場への流動性の供給などにより、相場変動リスクを抑える」とし、リンギット安の阻止は利上げに頼らない方針。

 中銀は景気見通しのリスクについて、「7-9月期の経済活動は改善している」としたが、「依然として、予想を下回る弱い外需や一次産品生産の大幅、かつ長期的な減少による下振れリスクにさらされている」とし、景気の先行きに懸念を示している。4-6月期GDP伸び率は前年比2.9%増と、前期の5.6%増から伸びが大幅に鈍化。政府の23年の成長率見通しは4.0-5.0%増となっている。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「今後の経済やインフレなどの状況の進展を警戒している」とし、今後の金融政策は会合ごとのデータに基づき、予断を持たずオープンなスタンスを維持したい考え。

 次回の会合は24年1月23-24日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ブルサKLC<1560.T>、アセアン50<2043.T>、アジア債券<1349.T>、

 上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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