<新興国eye>ポーランド中銀、予想に反し金利据え置き

新興国

2023/11/10 8:43

 ポーランド中銀は8日の金融政策委員会で、市場予想に反し、主要政策金利の7日物レファレンス金利を5.75%に据え置くことを決めた。また、中銀はロンバート金利と再割引金利、公定歩合、預金金利もそれぞれ6.25%、5.80%、5.85%、5.25%と、いずれも据え置いた。

 市場では中銀は最近の景気後退リスクの高まりを受け、0.25ポイントの小幅利下げを予想していた。

 中銀はコロナ禍後のインフレ急加速を受け、21年10月会合で9年5カ月ぶりに利上げに転じ、22年9月会合まで計11会合連続で利上げを継続。利上げ幅が計6.65ポイントに達したことから、利上げの効果を見るため、翌10月会合で据え置きに転じた。7月会合まで10会合連続で据え置いたが、9月会合で3年ぶりに利下げに転換、前回10月会合で2会合連続の利下げを決め、利下げ幅は計1.00ポイントに達している。

 中銀は声明文で、追加利下げを避け、金利据え置きを決めたことについて、「世界経済が低迷する中、ポーランドでも経済活動の伸びは依然として低いものの、一部のデータは緩やかな回復を示している」とし、その上で「経済活動の伸びが鈍化しているにもかかわらず、雇用市場は引き続き良好で、失業率は低い。就業者数は引き続き高水準にある」とし、前回10月会合時に比べ、景気懸念が緩和したことを指摘している。ただ、中銀は「ここ数カ月間の金利調整(9-10月の2会合連続利下げ)と、今後の財政政策が及ぼすインフレへの影響が不確実であることを考慮し、金利据え置きを決めた」とし、これまでの利下げの効果を見たいとしている。

 市場では中銀が9月会合で、総選挙(10月15日)を間近に控える中、与党の「法と正義」党の意向を反映し、大幅利下げ(0.75ポイント)を決めた結果、通貨ズロチが急落したことを教訓にして、今回、追加利下げを避け、金利据え置きを決めた背景にあると見ている。

 中銀はズロチ相場について、声明文で、「現在の金利水準が中期的に物価目標の達成に貢献すると判断している」とした上で、「ズロチ相場の上昇に支えられ、インフレ低下がより早くなる」とし、依然高水準にある政策金利を据え置くことにより、ズロチ高が維持されると見ている。

 インフレ見通しについて、中銀は、「主にエネルギーや食品などの物価上昇ペースの鈍化により、10月のインフレ率は再び顕著に低下、前年比6.5%上昇(9月は同8.2%上昇)の水準に低下した」と、最近のインフレ低下を指摘した上で、「経済活動の低迷も手伝って、今後数四半期のインフレ率はさらに低下する」と予想している。ただ、中銀は最近のインフレ低下でも依然、中期の物価目標(2.5%上昇プラス・マイナス1ポイント)を上回っていることに警戒感を緩めていない。

 中銀の最新の11月インフレ予測では、23年のインフレ率は11.3ー11.5%上昇(前回7月予測は11.1―12.7%上昇)だが、24年には3.2ー6.2%上昇(同3.7ー6.8%上昇)、25年は2.2ー5.3%上昇(同2.1ー5.1%上昇)と、23年と24年の見通しを下方修正(改善)した。

 今後の金融政策について、中銀は前回10月会合時と同様、「マクロ経済と金融の安定と、中期的にインフレ率を物価目標に収束させるために必要なすべての措置を講じる」とした上で、「今後の政策決定は、今後のインフレと経済活動の見通しに依存する」とした。

 また、中銀は通貨ズロチ相場について、前回会合時と同様、ズロチ相場の上昇がインフレ率の低下をさらに加速させるとの判断に基づき、ズロチ安になった場合、「外為市場で(ズロチ買いの)介入を実施する」としている。

 次回の会合は12月6日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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