米9月S&PコアロジックCS住宅価格指数、前月比0.3%上昇―伸び率は鈍化

経済

2023/11/29 9:07

<チェックポイント>

●20都市圏、8カ月連続上昇も市場予想下回る

●都市別では、南東部が強く、太平洋沿岸や西部が弱い傾向

●市場、10月も上昇を予想も11月以降は落ち着くと

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が28日に発表した9月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(季節調整前)は一戸建て中古住宅の価格動向を示す総合指数である全米住宅価格指数が前月比0.3%上昇の312.31と指数は8カ月連続で上昇し、過去最高を更新した。ただ、伸び率は前月の0.4%上昇から鈍化した。季節要因を無視できる前年比は3.9%上昇と、3カ月連続で前年水準を上回った。

 また、市場が最も重視している主要20都市圏の価格指数(季節調整前)は、前月比0.2%上昇の318.59と8カ月連続で上昇し、22年6月(318.72)の過去最高値を更新。前年比は3.9%上昇と3カ月連続で上昇したが、市場予想の4.1%上昇は下回った。

 主要10都市圏の価格指数(季節調整前)も、前月比0.3%上昇の332.99と8カ月連続で上昇し、22年6月(330.36)の過去最高値を更新。前年比は4.8%上昇と、前月の3%上昇から急加速した。

 S&P500指数を運営しているS&Pダウジョーンズ・インデックスのマネージング・ディレクター兼指数管理担当責任者であるクレイグ・ラザラ氏は、「最近の住宅ローン金利の上昇により、住宅購入需要が抑制される反面、それよりも住宅供給が大きく抑えられている」とし、住宅供給不足が価格上昇の背景にあると指摘。今後の見通しについて、「住宅ローンの資金調達コストの上昇などにより景気が低迷しない限り、(これまでの価格上昇分が消される可能性はなく)、住宅価格の先行きについては楽観的に見ている」としている。

 都市別の前年比は、南東部が強く、デトロイトが6.7%上昇と最も高い伸び。次いで、サンディエゴが6.5%上昇、ニューヨークが6.3%上昇、シカゴが6%上昇、ボストンが5.3%上昇、ロサンゼルスが5.2%上昇、マイアミとクリーブランドがいずれも5%上昇となった。

 対照的に、太平洋沿岸や西部が弱く、ラスベガスが1.9%低下と、最も低い伸びとなったほか、フェニックスが1.2%低下、ポートランドは0.7%低下となった。マイナスとなったのは20都市中3都市(前月は7都市)だった。

 中古住宅市場に弱さがみられるなかでも9月の住宅価格指数の伸びが加速しており、市場では10月も同様に加速した可能性が高いと見ている。ただ、高い金利水準の長期化で住宅ローン金利の高止まりを理由に転居をためらってきた中古住宅の所有者の中でも高金利を受け入れて転居する動きが強まりつつあり、11月以降は中古住宅の供給増により住宅価格が低下する可能性があると見ている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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