<新興国eye>トルコ11月CPI、前年比61.98%上昇に加速―前月比は3.28%上昇に減速
2023/12/6 8:54
トルコ統計局が4日発表した11月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比61.98%上昇と、前月(10月)の同61.36%上昇を上回り、今年に入り最も高い伸び、また、22年12月(64.27%上昇)以来、約2年ぶりの高い伸びとなった。ただ、市場予想(62.6%上昇)を下回った。
同国のインフレ率はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、21年6月(前年比17.53%上昇)から22年10月(同85.51%上昇)まで17カ月連続で急加速した。翌11月(同84.39%上昇)から今年6月まで減速したが、最近は再加速傾向にある。7ー9月は加速、10月は減速したものの、11月は再び加速している。市場では12月は67%上昇に急加速するため、中銀は12月21日の次回会合で2.5ポイントの追加利上げを決めると予想している。
ただ、前月比(全体指数)は3.28%上昇と、10月の3.43%上昇を下回り、4カ月連続で減速した。夏の通貨トルコリラ急落と増税の影響が剥離したことが減速の背景。市場予想(3.9%上昇)も下回り、依然、5月(0.04%上昇)以来、6カ月ぶりの低い伸び。
セクター別(前月比)では、天然ガス料金を含む住宅(光熱費や修理費)が11.17%上昇(前月は7.54%上昇)と、最も高い伸びとなった。寒冷な気候を受け、特に、天然ガスの消費量が急増したことが背景。次いで、アルコール飲料・たばこが9.16%上昇(同0.09%上昇)、通信は3.43%上昇(同2.67%上昇)となり、全体の伸び(3.28%上昇)を上回った。
このほか、食品・清涼飲料水は2.78%上昇(同3.2%上昇)、ホテル・カフェ・レストランは2.51%上昇(同3.51%上昇)、家具・生活用品が2.31%上昇(同2.6%上昇)、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは2.26%上昇(同3.08%上昇)、レクリエーション・文化は2.06%上昇(同2.26%上昇)、ヘルス(薬局・美容)は1.48%上昇(同2.64%上昇)。
対照的に、アパレル・靴は0.31%低下(前月は13.73%上昇)と、最も低い伸びとなった。次いで、運輸が0.21%上昇(同0.18%低下)、教育は0.62%上昇(同0.29%上昇)だった。
他方、セクター別の前年比(全体指数)は、ホテル・カフェ・レストランが92.86%上昇(前月は94.12%上昇)と、最も高い伸びとなった。値上げが背景。次いで、ヘルスが82.13%上昇(同81.3%上昇)、教育が81.49%上昇(同80.83%上昇)、アルコール飲料・たばこが71.35%上昇(同61.97%上昇)、運輸も70.04%上昇(同71.99%上昇)、食品・清涼飲料水67.16が%上昇(同71.99%上昇)と、全体の伸び(61.98%上昇)を上回った。
このほか、家具・生活用品は59.86%上昇(同60.96%上昇)、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは59.78%上昇(同60.33%上昇)、レクリエーション・文化は56.92%上昇(同56.96%上昇)、通信が48.2%上昇(同46.7%上昇)。
対照的に、住宅が37.54%上昇(同25.98%上昇)と、最も低い伸びとなった。次いでアパレル・靴が40.72%上昇(同39.15%上昇)だった。
他方、全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコア指数(グループC)は前月比1.96%上昇と、10月の同3.72%上昇を下回り、4カ月連続で減速、22年12月の同1.86%上昇以来の低い伸びとなった。コア指数は低下傾向にある。ただ、前年比は69.89%上昇と、10月の69.76%上昇を上回り、伸びが7カ月連続で加速。依然、22年10月(70.45%)上昇以来、1年ぶりの高い伸びとなっている。
中銀が11月17日に発表した市場参加者による最新の11月経済予測調査(月報)によると、23年末時点のインフレ見通しは前月(10月)の67.87%上昇から67.23%上昇に引き下げられた。2カ月前(9月)は67.7%上昇だった。1年後の見通しも45.75%上昇から44.07%上昇に引き下げられた。2カ月前は44.94%上昇だった。
市場では来年3月の地方選挙を控え、政府による景気刺激策が予想されるため、インフレ率の上昇は今後も続き、24年4-6月期の前年比73%上昇でピークを迎えると予想している。
<関連銘柄>
上場MSエマ<1681.T>
提供:ウエルスアドバイザー社
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