米11月雇用統計、非農業部門雇用者数は19.9万人増―市場予想上回る

経済

2023/12/11 8:12

<チェックポイント>

●自動車がスト終了で急回復

●失業率は3.7%に低下―前月や市場予想より改善

●早期利下げ期待は後退

 米労働省が8日に発表した11月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増となり、市場予想の平均値である18万5000人を上回った。過去2カ月分について、10月は速報値の15万人増が据え置かれ、9月分は改定値の29万7000人増から26万2000人増に下方改定。ただ、過去3カ月間(9-11月)の月平均の雇用者数は20万4000人増となり、10月時点(8-10月の月平均)の19万2000人増から加速している。

 雇用者の伸びが強い結果となったのは、スト長期化の影響で10月に3.2万人減となった自動車・同部品製造業が前月比3万人増に転じたことが大きい。

 失業率は3.7%となり、10月や市場予想の3.9%を下回った。FRB(米連邦準備制度理事会)が重視している27週間以上の長期失業者数の割合は18.3%と、10月の19.8%や9月の19.1%を下回った。

 平均時給は、前月比0.4%増の34.1ドルとなり、伸び率は10月の0.2%増や市場予想の0.3%増を上回った。労働時間は34.4時間(10月は34.3時間)だった。需要が強まると従業員の勤務時間が増える傾向がある。

 セクター別では、前述の通り自動車セクターの回復を受け、製造業が前月比2万8000人増(10月は3万5000人減)となった。

 サービス業も前月比12万1000人増(10月は9万5000万人増)に加速した。このうち、小売業は3万8400人減(10月は4700人減)。他方、運輸・倉庫業は同5000人減(同1万2400人減)と、減少幅が縮小した。

 雇用市場をけん引してきたレジャー・接客業は前月比4万人増(10月は4万2000人増)に加速したが、専門・ビジネスサービス業は同9000人減(10月は2000人増)となった。専門・ビジネスのうち、人材派遣サービスは1万3600人減と、10月の200人増から急減速している。対照的に成長産業である医療分野のヘルスケアが同9万3200人増(同7万5100人増)と、最も高い伸びとなった。

 部門別では、民間部門が前月比15万人増(10月は8万5000人増)、政府部門が同4万9000人増(10月は6万5000人増)だった。

 非農業部門雇用者数や平均時給の加速、失業率の低下を受け、米リセッション(景気減速)の懸念が後退した一方、米利上げ局面の終了観測も後退し、8日の米債券市場では10年債利回りが上昇し、為替市場ではドル買い・円売りが優勢となった。市場では12-13日のFOMC(米連邦公開市場委員会)や24年1月のFOMCで政策金利が据え置かれるとの見方が依然大勢を占めるが、3月のFOMCにおける利下げ期待は後退した。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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