<新興国eye>トルコ11月失業率、9%―予想上回り、5カ月ぶり上昇

新興国

2024/1/12 8:42

 トルコ統計局が10日発表した23年11月の失業率(季節調整後、15歳以上)は9.0%と、11年ぶりの低水準だった前月(10月)の8.6%から5カ月ぶりに上昇、市場予想(8.7%)も上回った。9月(9.1%)以来、2カ月ぶりの高水準。ただ、依然、1年前の10.1%やコロナ禍前の20年1月の13.0%を大きく下回り、失業率は21年4月の13.3%をピークに低下傾向にある。

 15-24歳の若年層の失業率も16.5%と、前月の16.2%を上回り、5カ月ぶりに上昇、9月(16.6%)以来、2カ月ぶりの高水準となった。ただ、1年前の16.7%を下回っている。

 また、労働供給の余地(活用できていない労働力)を示す、いわゆる未活用労働者比率(labour underutilization rate)は22.7%と、前月の21.4%から1.3ポイント上昇、8月(23.0%)以来、3カ月ぶりの高水準に戻り、雇用市場のたるみ(労働力などの余剰)感が高まった。ただ、依然、コロナ禍により外出制限など規制が強かった21年1月の29.3%をピークに低下傾向にある。

 失業者数(15歳以上)は前月比11万5000人増の311万6000人と、5カ月ぶりに増加した。ただ、前年同月比では43万1000人減と、1年前の水準を下回っている。

 他方、雇用者数は前月比23万6000人減の3161万1000人と、減少に転じ、5月の直近ピーク(3170万8000人)を下回った。ただ、前年比9万6000人増と、雇用回復は緩やかに続いている。雇用率は48.2%と、直近ピークだった前月の48.6%から低下、6月(47.9%)以来の低水準となった。前年同月の48.5%も下回った。

 また、労働市場参加率は52.9%と、前月の53.1%から低下に転じ、22年7月(52.4%)以来の低水準に戻ったことは懸念材料。1年前の53.9%や1月の53.9%の直近ピークも下回っている。

 市場では今年3月31日の地方選挙を控え、政府が23年12月に有権者対策として、24年の最低賃金を23年7月水準比で49%、1月水準比で100%も引き上げたため、一部の企業では従業員を解雇する動きが強まる可能性があると見ている。

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 上場MSエマ<1681.T>

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