<新興国eye>ルーマニア中銀、予想通り金利据え置き―市場は当面、据え置きを予想
2024/1/15 9:21
ルーマニア国立銀行(中銀)は前週末(12日)の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。
また、中銀は主要政策金利のプラス・マイナス1ポイントのレンジの上限としている、市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利も8.00%に、下限にあたる資金吸収のための預金金利も6.00%に、いずれも据え置いた。
中銀が金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率についても、自国通貨建ての預金準備率を8.00%、外国通貨建ての預金準備率も5.00%にそれぞれ据え置いた。
中銀は急速なインフレ上昇を受け、21年10月会合で3年5カ月ぶりに利上げを再開。23年1月会合まで11会合連続の利上げを実施、利上げ幅が計5.75ポイントに達したことを受け、同2月会合で利上げサイクルを休止した。これで据え置きは8会合連続。金利水準は依然、10年以来13年ぶりの高水準にある。
中銀は会合後の声明文で、金利据え置きを決めた理由について、最近のインフレ低下と中東情勢の見通しの不確実性を挙げた。インフレについては、中銀は、「インフレ率は23年10-12月期最初の2カ月で予想を上回るペースで低下、食料品や(原油など)エネルギー価格の伸びが鈍化する中、9月の前年比8.83%上昇から11月には同6.72%上昇に低下した」とし、その上で、今後のインフレ見通しについて、中銀は、「インフレ率は24年1月に上昇し、その後、緩やかな低下に戻り、23年11月の中期予測よりも低い軌道を描く」とし、バイアス(金融政策に対する姿勢)をニュートラル(中立)に変更した。
しかし、中銀はインフレ見通しに対する上振れリスクについて、「財政健全化のための財政・予算措置には重大(Significant)な不確実性とリスクが伴う。また、基礎食品の値上げ上限措置が2月に期限が切れる」と指摘、依然、強い警戒感を示している。
また、中銀は中東情勢についても、「ルーマニア経済の見通しに対するリスク、つまり、中期的なインフレ見通しに対する不確実性とリスクはロシア・ウクライナ戦争や中東紛争、欧州、特にドイツの予想を下回る景気後退から引き続き生じている」とし、「入手可能な最新の経済指標と、こうした最近の不確実性の高まりを考慮し、金利据え置きを決めた」としている。
今後の金融政策については、中銀は前回11月会合時と同様、「持続可能な経済成長を達成し、中期的にインフレ期待を抑制、インフレ率を物価目標(2.5%上昇プラス・マイナス1ポイント)に戻すことを目指す」とし、景気支援とインフレ抑制の両立を目指す考えを改めて強調したが、「中期的な物価安定の達成に必要な手段を講じる用意がある」との文言を残し、追加利上げの可能性に含みを残した。
市場では、中銀はまだ景気リスクを重視し、もう一段の景気刺激を求める、いわゆるハト派(金融緩和派)にはシフトしていないと見ている。また、これまでもムグル・イサレスク総裁はインフレ率が政策金利水準に低下するまで金利を据え置く考えを示していることや、コア指数(調整後コア2)も11月は前年比9.1%上昇(9月は同11.3%上昇)に低下したものの、依然高水準のため、24年上期まで現状維持を続け、利下げ転換は5月になると見ている。
次回の金融政策決定会合は2月13日に開かれる予定。
<関連銘柄>
上場EM債<1566.T>
提供:ウエルスアドバイザー社
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