<新興国eye>トルコ1月CPI、前年比64.86%上昇に加速―前月比は6.7%上昇に加速

新興国

2024/2/6 8:50

 トルコ統計局が5日発表した1月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比64.86%上昇と、前月(12月)の同64.77%上昇を上回り、3カ月連続で伸びが加速、22年11月(84.39%上昇)以来、約1年2カ月ぶりの高い伸びとなった。市場予想(64.5%上昇)も上回った。

 同国のインフレ率はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、21年6月(前年比17.53%上昇)から22年10月(同85.51%上昇)まで17カ月連続で急加速した。翌11月(同84.39%上昇)から23年6月まで減速したが、最近は再加速傾向にある。23年7-9月は加速、10月は減速したものの、11月以降、3カ月連続で加速している。

 また、前月比(全体指数)は6.70%上昇と、前月(12月)の2.93%上昇から6カ月ぶりに急加速した。23年8月(9.09%上昇)以来、5カ月ぶりの高い伸びで、市場予想(6.5%上昇)も上回った。

 市場では1月のインフレ加速は最低賃金(月額報酬)の引き上げやホテル、カフェ、レストランの価格高騰が要因で、依然、中銀に対する金融引き締め圧力が続くと見ている。また、市場では今後数カ月、前年比でインフレ率の加速が継続すると予想している。

 セクター別(前月比)のインフレ率は、ヘルス(薬局・美容)が17.68%上昇(前月は4.44%上昇)と、最も高い伸びとなった。次いで、ホテル・カフェ・レストランの12.17%上昇(同2.81%上昇)。どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスも10.25%上昇(同1.89%上昇)、レクリエーション・文化は9.07%上昇(前月は5.3%上昇)、天然ガス料金を含む住宅(光熱費や修理費)が7.43%上昇(同4.97%上昇)、家具・生活用品が7.33%上昇(同3.65%上昇)と、全体の伸び(6.70%上昇)を上回った。対照的に、最も低い伸びとなったのはアパレル・靴の1.61%低下(同1.33%低下)、次いで、通信が2.98%上昇(同3.07%上昇)だった。

 他方、セクター別の前年比(全体指数)は、ホテル・カフェ・レストランが92.27%上昇(前月は93.24%上昇)と、最も高い伸びとなった。値上げが背景。次いで、教育が79.81%上昇(同82.06%上昇)、ヘルスが78.57%上昇(同79.59%上昇)、運輸も77.54%上昇(同77.14%上昇)と、全体の伸び(64.86%上昇)を上回った。対照的に、アパレル・靴が40.62%上昇(同40.74%上昇)と、最も低い伸びとなった。次いで、住宅が40.62%上昇(同40.39%上昇)だった。

 他方、全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコア指数(グループC)は前月比7.58%上昇と、12月の同2.31%上昇の3倍超の高い伸びとなった。2カ月連続の加速で、23年8月の同8.89%上昇以来の高い伸び。ただ、直近(23年7月)のコア指数のピーク9.61%上昇を下回っている。

 また、コア指数の前年比は70.48%上昇と、12月の70.64%上昇を下回り、伸びが9カ月ぶりに減速したが、依然、12月の直近ピークに近い水準。

 中銀は23年11月2日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、24年末時点のインフレ見通し(中心値)を前年比36%上昇、25年末時点の見通しを14%と予想している。

 また、中銀が1月19日に発表した市場参加者による最新の1月経済予測調査(月報)によると、24年末時点のインフレ見通しは前月(12月)の65.41%上昇から41.89%上昇に引き下げられた。2カ月前(11月)は67.23%上昇だった。1年後のインフレ見通しも41.23%上昇から39.09%上昇に引き下げられている。2カ月前は44.07%上昇だった。

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