<新興国eye>前週のインド株、通貨ルピー安や利下げ慎重姿勢を受け反落=BRICs市況

新興国

2024/2/13 9:01

 前週(5-9日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の9日終値は前日比0.23%高の7万1595.49、週間ベースでは2日終値比0.68%安と、反落した。

 週明け5日は指数が下落、翌6日は反発した。7日は小反落、8日は続落した。

 週前半は、FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長がテレビ番組で、3月利下げ観測に改めて否定的な見方を示したことを受け、米長期国債利回りが上昇、通貨ルピーが下落したことが嫌気され、売りが優勢となった。また、大手行ステート・バンク・オブ・インディア(SBI)の四半期決算が予想下回り、急落、下げをけん引。ただ、自動車大手タタ・モーターズは利益が予想を上回り、7%急騰、自動車セクターも買われたため、下値は限られた。その後は、アジア市場、特に中国と香港の市場が上昇したことが好感され、インド市場でも買いが優勢となった。

 週後半は、アジア市場の堅調を受け、インド市場でも買いが一時、強まったが、インド準備銀行(中銀)の金融政策決定会合を間近に控えて取引が慎重となった。四半期決算で利益が予想を下回ったHDFC銀行とバジャージ・ファイナンス、アクシス銀行が売られ、IT大手インフォシスや港湾大手アダニポーツ、バーラト・ペトロリアム(BPCL)なども急落、下げをけん引した。

 その後は、インド準備銀行が予想通り金利を据え置いたが、利下げ転換へのフォワードガイダンス(金融政策の指針)を示されなかったことが嫌気され、銀行株を中心に売りが広がった。また、オンライン決済サービス最大手ペイティーエムと複合企業大手ITCも最大10%急落、相場を押し下げた。ITCの急落は同社の筆頭株主であるブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)がITCの保有株の一部を売却すると発表したことが背景。

 週末9日は小反発。方向感のない取引となる中で、地元のインド料理宅配大手ゾマトの四半期決算が好調となり、5%急騰、上げをけん引した。ただ、国営企業などのPSU(公共部門)で利益確定売りが強まったため、上値は重くなった。

 今週(12-16日)のインド市場は中東紛争やウクライナ戦争、中東・紅海でのイエメン武装勢フーシ派による船舶攻撃、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、原油価格の動向、世界経済、特に米・中・欧の景気動向や金融政策、米中関係、インド国内のインフレ動向、主要企業ニュースも注目される。主な経済指標の発表予定は12日の12月鉱工業生産と1月CPI(消費者物価指数)、13日の1月WPI(卸売物価指数)など。

<関連銘柄>

 インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、インドベア<2047.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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