<新興国eye>ハンガリー中銀、予想通り1ポイント利下げ―追加利下げを示唆

新興国

2024/2/28 8:47

 ハンガリー中央銀行は27日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を1.00ポイント引き下げ、9.00%とすることを決めた。市場の大方の予想通りだった。一部では0.75ポイントの利下げを予想していた。

 また、中銀はほかの主要政策金利についてもベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を8.00%、また、上限を示す翌日物有担保貸出金利も10.00%と、それぞれ同率引き下げた。新金利は28日から適用開始。

 中銀はウクライナ戦争のぼっ発(22年2月24日)でインフレが加速したため、22年9月会合まで17会合連続で利上げを実施したが、利上げ幅が計12.40ポイントに達し、金利水準も99年12月(14.50%)以来22年9カ月ぶりの高水準となったため、22年10月会合から据え置きに転換、23年9月会合まで12会合連続で据え置いた。しかし、最近のインフレの鎮静化を受け、同10月会合で、コロナ禍の20年7月以来、3年3カ月ぶりに利下げに転換、今回で5会合連続となった。

 中銀は今回の金利引き下げについて、「ハンガリー経済のディスインフレが強く広範囲にわたり持続している。1月のインフレ率は前年比3.8%上昇(12月は5.5%上昇)に低下、物価目標の許容範囲に収束した。コアインフレ率も同6.1%上昇(同7.6%上昇)に低下した」とした上で、「外需と内需の物価上昇圧力も依然として低く、インフレリスクはさらに改善。これにより、一時的な速いペースでの利下げの継続が可能になった」とし、前回会合時と同様、インフレ低下が進む中で、金融政策の正常化に向けた措置であることを改めて強調した。

 ただ、今回の会合では利下げペースを0.75ポイントから1.00ポイントに拡大した。市場ではインフレの低下が進む一方で、23年10-12月GDP伸び率が減速し、景気後退懸念が強まったことが利下げペースを拡大した背景にあるとみている。

 中銀は今後の金融政策について、前回会合時と同様、「世界的なディスインフレと海外の投資家心理の不安定性をめぐるリスクを考慮し、慎重なアプローチをとる必要がある。中銀は常に最新のマクロ経済のデータやインフレ見通し、リスクの見通しを注視しており、今後数カ月以内に政策金利のさらなる引き下げと最適な利下げペース(利下げ幅)を決める」とし、追加利下げの可能性を示唆した。

 ただ、利下げペースをめぐっては、政府は景気刺激のため、中銀に対し、より大幅な利下げを求めているが、年内にインフレ圧力が強まり、最近のディスインフレ傾向が反転する可能性があるため、市場では中銀は利上げペースには慎重にならざるを得ないとみている。市場では6月までにベース金利を6.25%に引き下げたあと、年内は金利据え置きに転じると予想している。

 先週(22日)、バルナバス・ビラグ副総裁は地元ニュースサイト「インデックス」のインタビューで、「1月のインフレ率の急低下は一時的に利下げペースを(1.00ポイントに)加速させる根拠になる」としたものの、「FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)が利下げ開始を遅らせることにシフトしたことは0.75ポイントの(慎重な)利下げペースを維持することを正当化する」と述べている。

 次回の金融政策決定会合は3月26日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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