<新興国eye>トルコ10-12月期GDP、前年比4%増に減速―前期比は1%増に加速

新興国

2024/3/1 8:42

 トルコ統計局が2月29日発表した23年10-12月期GDP(国内総生産)伸び率(季節調整後、09年=100として)は前年比4.0%増と、前期(7-9月期)の6.1%増(改定前は5.9%増)から伸びが減速、22年4-6月期(3.9%増)以来の低い伸びとなった。ただ、市場予想(3.5%増)を上回った。政府投資と輸入が低迷したが、個人消費と総固定資本形成(企業投資)が堅調を維持、全体を下支えした。

 他方、前期比は1.0%増と、前期の0.3%増(改定前も0.3%増)から伸びが加速、市場予想(0.3%増)も上回り、22年10-12月期(1.1%増)以来の高い伸びとなった。市場では中銀が23年6月以降、インフレ抑制のため、これまでの金融緩和から急速な金融引き締め(利上げ)に転換したため、前期比の伸びは緩やかに減速すると予想していたが、1.0%増となったことはサプライズとなり、トルコ経済は輸出はまだ弱いものの、個人消費を中心に伸びていると見ている。

 この結果、23年全体の成長率は4.5%増となり、22年の5.5%増から伸びは2年連続で鈍化した。

 メフメト・シムセク財務相は統計発表後、「24年には外需がプラスに寄与し、緩やかでバランスの取れた成長が見込まれる」と、景気の先行きを楽観的に見ている。

 10-12月期の主な内訳はGDPの約60%を占める家計最終消費支出(個人消費)が前年比9.3%増と、前期の同11.1%増から伸びが3期連続で減速、21年1-3月期(8.4%増)以来の低い伸びとなった。ただ、14期連続のプラスとなり、全体の伸びを支えた。前期比は3.6%増と、前期の同1.7%減から伸びが急加速している。

 GDP押し上げ要因の輸出は前年比0.2%増と、前期の1.2%増に続き2期連続でプラスとなったが、伸びは減速した。一方、GDP押し下げ要因の輸入は同2.7%増と、9期連続で増加したが、前期の同14.5%増から伸びが大幅に鈍化した。しかし、輸入の伸びが輸出を上回ったため、外需全体としてGDPの押し下げに寄与している。

 総固定資本形成(企業投資)は同10.7%増と、5期連続の増加となり、前期の同14.8%増から伸びが減速したが、依然、高い伸びとなり、全体を押し上げた。政府最終消費支出は同1.7%増と、前期の同7.6%増を下回り、4期ぶりに伸びが減速した。

 他方、生産面で見たGDP伸び率(前年比)の主な内訳は、建設業が10.8%増(前期は7.8%増)と、最も高い伸びとなった。次いで金融・保険業は7.4%増(同5.1%増)となり、GDP伸び率(4.0%増)を上回った。

 このほか、サービス業(卸売業、小売業、輸送、保管、宿泊施設、食品サービス活動)は3.0%増(同4.6%増)、不動産業は2.8%増(同2.7%増)、その他サービス業は2.2%増(同2.2%増)、鉱工業は1.9%増(同5.5%増)、このうち、製造業は同1.8%増(同5.9%増)。公共行政・教育・医療・社会福祉は1.9%増(同4.8%増)、農林水産業は0.5%増(同0.3%増)となっている。

 対照的に、情報・通信業は3.0%減(同1.1%増)と、最も低い伸びとなった。次いで、行政支援などの専門職サービスは1.5%減(同2.1%減)だった。

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