<新興国eye>前週のブラジル株、ペトロブラス急落や失業率低下を受け4週ぶり反落=BRICs市況

新興国

2024/3/4 9:05

 前週(2月26日-3月1日)のブラジル株式市場は1日のボベスパ指数が前日比0.12%高の12万9180.4、週間ベースでは2月23日終値比0.18%安となり、4週ぶりに反落した。

 週明け26日は指数が上昇、翌27日も続伸した。28日は反落、29日も続落した。

 週前半は、FRB(米連邦準備制度理事会)が最も重視する1月PCE(個人消費支出)物価指数やブラジルの2月中旬時点のIPCA(拡大消費者物価指数)の発表を控え、様子見気分が強まった。その後は、2月中旬時点のIPCAが前月比0.78%上昇と、市場予想(0.82%上昇)を下回り、前年比も4.49%上昇と、これも市場予想(4.53%上昇)を下回ったことを受け、中銀の利下げ継続観測が強まり、買いが優勢となった。好決算を背景に冷凍食品大手BRFや小売り大手グルポ・ポム・デ・アスカーが急騰、上げを主導した。

 週後半は、国営石油大手ペトロブラスのジーン・ポール・プラテス新CEO(最高経営責任者)が株主への利益還元となる自社株買いに慎重姿勢を示したことが嫌気され、急落、下げを主導した。また、米国の23年10-12月期GDP伸び率の改定値が前期比年率換算3.2%増と、速報値(3.3%増)と市場予想(3.3%増)を下回ったことも売り材料となった。

 その後は、ブラジルの23年11月ー24年1月期の失業率が7.6%上昇と、市場予想(7.8%)を下回ったことを受け、強い経済がサービスインフレの低下ペースを遅らせ、中銀の利下げサイクルに悪影響が及ぶとの思惑で売りが一段と強まった。また、ビール・清涼飲料水大手アンベブが四半期決算で大幅減益となり、急落、下げをけん引。

 週末1日は小反発。ブラジルの23年10-12月期GDP伸び率が前年比2.1%増と、市場予想(2.2%増)を下回ったものの、23年全体では2.9%増となり、市場が当初、予想したわずか0.8%増の低い伸びを大幅に上回ったことで買い安心感が広がった。

 今週(4-8日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、中東・紅海でのイエメン武装勢フーシ派による船舶攻撃、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策なども注目される。

 主な経済指標の発表予定は4日の2月IPC-Fipeインフレ指数(サンパウロ大学経済研究所が発表する消費者物価指数)や5日の2月PPI(生産者物価指数)と2月S&Pグルーバル・ブラジル非製造業PMI(購買担当者景気指数)、6日の2月貿易収支と1月鉱工業生産、2月自動車生産・販売額、1月経常収支、7日の1月財政収支と2月ジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)IGPーDIインフレ指数(全国卸売物価指数)など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ