<新興国eye>トルコ2月CPI、前年比67.07%上昇に加速―前月比は4.53%上昇に減速

新興国

2024/3/5 8:50

 トルコ統計局が4日発表した2月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比67.07%上昇と、前月(1月)の同64.86%上昇を上回り、4カ月連続で伸びが加速、22年11月(84.39%上昇)以来、約1年3カ月ぶりの高い伸びとなった。市場予想(66%上昇)も上回った。

 同国のインフレ率はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、21年6月(前年比17.53%上昇)から22年10月(同85.51%上昇)まで17カ月連続で急加速した。翌11月(同84.39%上昇)から23年6月まで減速したが、最近は再加速傾向にある。23年7ー9月は加速、10月は減速したものの、11月以降、4カ月連続で加速している。

 ただ、前月比(全体指数)は4.53%上昇と、前月(1月)の6.70%上昇を下回った。23年12月(2.93%上昇)以来、2カ月ぶりの低い伸びに戻ったが、市場予想を上回った。

 市場では2月のインフレ加速は最低賃金(月額報酬)の引き上げやホテル、カフェ、レストランの価格高騰が要因で、今後数カ月、前年比でインフレ加速が継続、5月には前年比70%上昇を超えてピークに達すると予想。依然、中銀に対する金融引き締め圧力が続くと見ている。

 セクター別(前月比)のインフレ率は、教育が12.76%上昇(前月は3.17%上昇)と、最も高い伸びとなった。次いで、食品・生鮮飲料水が8.25%上昇(同5.19%上昇)、ホテル・カフェ・レストランは5.43%上昇(同12.17%上昇)と、全体の伸び(4.53%上昇)を上回った。

 このほか、通信が4.31%上昇、ヘルス(薬局・美容)が3.64%上昇、どのカテゴリーにも入らないその他商品・サービスは3.52%上昇、天然ガス料金を含む住宅(光熱費や修理費)が3.41%上昇、レクリエーション・文化は3.19%上昇、家具・生活用品が3.01%上昇。対照的に、最も低い伸びとなったのはアパレル・靴の0.20%上昇だった。

 他方、セクター別の前年比(全体指数)は、ホテル・カフェ・レストランが94.78%上昇(前月は92.27%上昇)と、最も高い伸びとなった。値上げが背景。次いで、教育が91.84%上昇(同79.81%上昇)、ヘルスが81.25%上昇(同78.57%上昇)、運輸も77.98%上昇(同77.54%上昇)と、全体の伸び(67.07%上昇)を上回った。対照的に、アパレル・靴が43.44%上昇と、最も低い伸びとなった。次いで、住宅が49.07%上昇。

 他方、全体指数から値動きの激しい食品やエネルギーなどを除いたコア指数(グループC)は前月比3.57%上昇と、1月の同7.58%上昇から伸びが3カ月ぶりに鈍化。23年12月の同2.31%上昇以来の低い伸びに戻った。直近(23年7月)のコア指数のピーク9.61%上昇を大幅に下回っている。

 しかし、コア指数の前年比は72.89%上昇と、1月の70.48%上昇を上回り、伸びが急加速。05年1月以降では過去最高となった。

 中銀は2月8日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、24年末時点のインフレ見通し(中心値)を前年比36%上昇、25年末時点の見通しを14%と予想、いずれも前回予想を据え置いている。ちなみに23年は64.8%上昇だった。

 また、中銀が2月16日に発表した市場参加者による最新の2月経済予測調査(月報)によると、24年末時点のインフレ見通しは前月(1月)予想時点の41.89%上昇から42.59%上昇に4カ月ぶりに引き上げられた。2カ月前(12月)時点は65.41%上昇だった。1年後の見通しは39.09%上昇から37.6%上昇に4カ月連続で引き下げられた。2カ月前は40.0%上昇だった。

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