来週の東京外国為替市場見通し=米インフレ指標や国内の春闘で日米の金融政策の方向性を見極め

国内市況

為替

2024/3/8 16:39

予想レンジ:1ドル=145円00銭-150円90銭

 4-7日のドル・円は下落した。週明け4日は、ドルを買い戻す動きが優勢となったが、上値は限られた。5日、前週末の米2月ISM(供給管理協会)製造業景気指数に続いて非製造業景気指数も市場予想を下回り、ドル・円は軟化。6日は、市場予想を下回る米2月ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)雇用統計などを材料にドル売りが継続した。7日、日本の政府関係者が早期のマイナス金利解除の容認姿勢を示していると報じられたほか、日銀の中川順子審議委員が2%の物価安定目標の達成に前向きな見方を示したことから円買いが加速。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長による米上下両院での議会証言がハト派的と受け止められたこともドル売り・円買いを誘った。

 まずは8日発表の米2月雇用統計が注目となる。米労働需給の緩和傾向が示されれば米利下げ観測が高まり、ドル・円の重しになるが、最近は弱い米雇用関連指標が相次いでいるだけに、市場予想と大きなカイ離がなければ反応は限定的か。予想に反して強い結果となるとドルを買い戻す動きが加速するとみられる。

 来週(11-15日)も日米の金融政策に関する観測が交錯しそうだ。米国では2月のCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)が発表される。1月29日の米1月PCE(個人消費支出)価格指数は約3年ぶりの低い伸びとなったが、2月のインフレ指標も伸びの鈍化が確認できれば、米利下げ観測が強まる。一方、日銀の植田和男総裁はマイナス金利政策の解除について、春闘の賃上げ動向をひとつの判断材料にあげている。来週にかけて春闘の企業側の回答がヤマ場を迎える見通しで、賃上げの動きが続くようだと、18-19日の日銀金融政策決定会合に対する思惑も高まるだろう。

 ドル・円の上値メドは2月に付けた年初来高値の150円90銭近辺、下値メドは心理的フシ目の140円ちょうど近辺。

提供:ウエルスアドバイザー社

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