FOMC、政策金利を据え置き―年内3回の利下げ予想は維持

経済

2024/3/21 8:57

<チェックポイント>

●25年、26年の政策金利見通しは引き上げ

●GDP伸び率は26年まで上方修正―米景気の冷え込み想定せず

●FRB議長、「1月と2月のインフレ率はひどくない」と、懸念示さず

 FRB(米連邦準備制度理事会)は20日のFOMC(公開市場委員会)会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25-5.5%(中心値5.375%)に据え置くことを全員一致で決めた。市場予想通りだった。据え置きは5会合連続。

 今回の会合で新たに発表された19人のFOMC委員による金利予測を示す「ドット・プロット」では、24年の政策金利を4.50-4.75%(1回の利下げを0.25ポイントとして年3回の利下げ)と予想したのが9人ともっとも多く、次いで4.75-5.00%が5人だった。年内据え置き(5.25-5.50%)を予想したのは前回(23年12月)と同じ2人だったのに対し、前回1人が6回の利下げ(3.75-4.00%)を予想していたが、今回は1人もいなくなり、分布が集約された格好。結果として、中央値は24年末が4.6%となり、年内3回とする予測は前回と変わっていない。ただ、25年は3.9%(前回予測は3.6%)、26年は3.1%(同2.9%)と、いずれも利上げペースが遅くなった。

 市場が注目していた中立金利(政策金利の長期予測)も2.6%(前回予測は2.5%)に引き上げられた。中立金利の引き上げは、高金利水準が長期化すると見込まれる。FRBはインフレ抑制のため、政策金利を中立金利以上に引き上げる必要があると考えているため、中立金利を超える金利水準は経済成長を抑える「制限的な領域」にとどまり、通常であれば景気後退が懸念される。

 ただ、GDP(国内総生産)伸び率は、24年が2.1%増(前回予測は1.4%増)、25年と26年が2.0%増(25年が同1.8%増、26年が同1.9%増)と、いずれも上方修正され、FRBは景気の冷え込みを想定していない。

 失業率の予想は、24年が4.0%(前回予測は4.1%)、25年は4.1%(同4.1%)、26年は4.0%(同4.1%)とした。

 PCE(個人消費支出)物価指数で見たインフレ率の見通しは、24年のコア指数が2.6%上昇(同2.4%上昇)に引き上げられ、25年は2.2%上昇(同2.2%上昇)、26年は2.0%上昇(同2%上昇)と、それぞれ据え置かれた。

 インフレの全体指数は24年が2.4%上昇(同2.4%上昇)、25年は2.2%上昇(同2.1%上昇)、26年は2%上昇(同2%上昇)と予想している。

 パウエルFRB議長は会合後の会見で、1-2月のインフレ指標が強かったことに対し、「ひどいものではなく、懸念していない」とし、インフレの高止まりについては無視できる範囲内との認識を示した。

 また、パウエル議長はバランスシートの減額について、「金融市場への大きな悪影響を防ぐため、数兆ドル規模のバランスシートの削減ペースを減速させる可能性がある」と述べた。現在、FRBはいわゆるロールオフ(買い入れた国債の満期償還金による再投資の減額)により、バランスシートを減額しており、2年間で9兆ドルから約7兆5000億ドルに削減している。。ただ、「バランスシートの全体の削減額は変わらない」としている。

 FRBは減額ペースを国債が600億ドル、エージェンシー(政府機関ジニーメイと政府系住宅金融会社)MBSが350億ドルを、それぞれ毎月の減額上限としているが、減額の終了時期については明確にしていない。

 次回のFOMCは4月30日-5月1日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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