<新興国eye>ルーマニア中銀、予想通り金利据え置き―市場は当面、据え置き予想

新興国

2024/4/5 8:55

 ルーマニア国立銀行(中銀)は4日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を7,00%に据え置くことを決めた。市場の予想通りだった。

 また、中銀は主要政策金利のプラス・マイナス1ポイントのレンジの上限としている、市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利も8.00%に、下限にあたる資金吸収のための預金金利も6.00%に、いずれも据え置いた。

 中銀が金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率についても、自国通貨建ての預金準備率を8.00%、外国通貨建ての預金準備率も5.00%にそれぞれ据え置いた。

 中銀は急速なインフレ上昇を受け、21年10月会合で3年5カ月ぶりに利上げを再開。23年1月会合まで11会合連続の利上げを実施、利上げ幅が計5.75ポイントに達したことを受け、同2月会合で利上げサイクルを休止した。これで据え置きは10会合連続。金利水準は依然、10年以来13年ぶりの高水準にある。

 中銀は会合後の声明文で、金利据え置きを決めた理由について、前回2月会合と同様、最近のインフレ低下を挙げた。中銀は、「1月のインフレ率は予測通り、前年比7.41%上昇と、23年12月の同6.61%上昇から加速したが、2月は7.23%上昇に鈍化した」とし、その上で、インフレ見通しについても、「インフレ率は主にベース効果と農産物価格の下落により、最新の2月経済予測をやや上回るものの、今後数カ月で一段と低下する」とし、今回の会合でもニュートラル(中立)なバイアス(金融政策に対する姿勢)を維持した。

 中銀はもう1つの金利据え置きの理由として、前回会合時と同様、中東情勢の見通しの不確実性によるインフレ上振れリスクを指摘している。中銀は、「中期的なインフレ見通しに対する不確実性とリスクは、ロシア・ウクライナ戦争や中東紛争、欧州、特にドイツの予想を下回る景気後退から引き続き生じている」とし、「入手可能な最新の経済指標と、こうした最近の不確実性の高まりを考慮し、金利据え置きを決めた」としている。

 また、中銀はインフレリスクとして、国内事情を挙げ、「今年1-2月の予算執行に加え、(国や地方の)公共セクターの賃上げ動向や年金(の引き上げ)に関する新法、将来実施される財政健全化のための財政・予算措置からも不確実性とリスクが高まっている」とし、依然、強い警戒感を示している。同国の財政赤字は24年GDP比5%に達すると予想され、また、賃金と年金の引き上げ圧力にも直面している。

 今後の金融政策について、中銀は前回会合時と同様、「持続可能な経済成長を達成し、中期的にインフレ期待を抑制、インフレ率を物価目標(2.5%上昇プラス・マイナス1ポイント)に戻すことを目指す」とし、景気支援とインフレ抑制の両立を目指す考えを改めて強調したが、「中期的な物価安定の達成に必要な手段を講じる用意がある」との文言を残し、金融引き締め継続の可能性を示唆した。

 市場では中銀はまだ、景気刺激を求める、いわゆるハト派(金融緩和派)にはシフトしていないと見ている。中銀幹部もインフレリスクを警戒、利下げ開始の議論を始めるにはあと数カ月かかると指摘していることや、最新のコア指数(調整後コア2)も2月が前年比7.6%上昇と、23年12月の同8.4%上昇から低下したものの、依然高水準のため、24年上期まで現状維持を続け、利下げ転換は6月になると見ている。

 次回の金融政策決定会合は5月13日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ