米3月雇用者数、予想上回る30.3万人増―失業率は3.8%に低下(2)

経済

2024/4/8 9:34

<チェック・ポイント>

●賃金は前月比0.3%増、前年比4.1%増に鈍化―インフレ圧力緩和

●ヘルスケアとレジャー・接客業、建設業が急増―政府部門も増加

●先物市場、6月利下げ開始予想を7月以降に先送り

 市場が注目していたインフレ要因である賃金(平均時給)の伸びは前月比0.3%増の34.69ドルと、前月の同0.2%増から伸びがやや加速したが、市場予想(0.3%増)と一致。前年比は4.1%増と、前月の4.3%増から2カ月連続で減速、市場予想とも一致した。21年6月の3.9%増以来の低い伸びでインフレ圧力が低下している。市場では賃金圧力の緩和は労働者の市場参加率の上昇が寄与していると見ている。

 ただ、賃金の伸びはFRBが好ましいと見ている前年比3%増を依然、大きく上回っている。また、労働時間は34.4時間と、前月と市場予想の34.3時間を上回った。需要が強まると従業員の勤務時間が増える傾向がある。

 FRBが重視している27週間以上の長期失業者数の割合は19.5%(124万6000人)と、2月の18.7%(120万3000人)から上昇。実数でも23年10月(129万1000人)以来の高水準となった。雇用市場が弱まる兆しを示している。

 雇用者増の主な内訳は、民間部門(事業所統計)は前月比前月比23万2000人増と、前月の同20万7000人増(改定前は22万3000人増)を上回った。23年5月(25万4000人増)以来の高い伸び。成長産業である医療分野のヘルスケア(前月比8万1300人増)やレストラン・バー(同2万8300人増)、建設業(同3万9000人増)に加え、政府部門(同7万1000人増)も伸びを主導した。

 製造業は前月比横ばいと、2月の同1万人減から回復。このうち、自動車・同部品製造業は同6500人増(2月は同1900人減)。他方、金利上昇(住宅ローン金利の上昇)の影響を受けやすい建設業は最近の金利低下を反映、同3万9000人増と、2月の同2万6000人増からさらに伸びた。

 サービス業は前月比19万人増と、2月の同19万人増からさらに伸び、全体を押し上げた。このうち、小売業は同1万7600人増(2月は2万3000人増)、運輸・倉庫業は同1200人増(同2万2500人増)と、伸びが鈍化した。

 また、雇用市場をけん引するレジャー・接客業は前月比4万9000人増と、2月の同4万3000人増からさらに伸びた。専門・ビジネスサービス業は同7000人増と、2月の同1万7000人増から伸びが減速。このうち、人材派遣サービス(パートタイム)は1300人減と、2月の同1万1900人減からさらに減少した。パートタイム雇用はフル雇用が見つからないか、労働時間が短縮されたことが要因。

提供:ウエルスアドバイザー社

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