FCE、コスモトピア買収で教育ICT領域強化へ

株式

2024/4/16 9:17

 FCE<9564.T>はRPA(=ロボティックプロセスオートメーション、ロボットによる業務自動化)ツールが好調に推移する中で、もう1本の収益柱である教育研修事業についても、M&A(企業の合併・買収)による成長の加速を図る。新たに取り込んだ、自立学習支援サービスの貢献が期待される。

<600校超導入の自立学習支援ツール>

 FCEの連結売上高のうち、RPAのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進事業がおよそ5割を占める(前9月期実績)。残りの半分に当たる教育研修事業も、主力の企業向けクラウド型オンライントレーニングシステムの導入社数が増加し、今期までの中期計画の目標に対して強含みで推移している。

 ただ、増収率(前年対比)に関しては前期21%、前々期25%と勢いのあるDX推進事業に対し、教育研修事業はそれぞれ3%、マイナス2%にとどまった。同事業は近年、学習塾運営を売却するなどの構造改革を実施したこともあり、売上高の伸びが抑制されている。

 そうした中、同社は今年1月に、教育ICT分野の老舗企業である日本コスモトピア(大阪市)の全事業を1億円で買収した。連結決算には今期第2四半期(1~3月)から反映される。

 コスモトピアは年商約2億円。主力商材の「みんなの学習クラブ」は、アナログとデジタルの両方に対応し、児童・生徒ごとに最適化できる教科書の副教材。これまで600校超で導入されてきた。学習塾向けの「Selfee(セルフィー)」とあわせて、子供の学力向上を支援してきた。

 一方、FCEも教育研修事業の中で、文教分野向けに生徒・学生向けビジネス手帳「フォーサイト」を展開している。学習計画の策定から実行、分析、改善までのサイクル形成をサポートするもので、全国1100校の約35万人が活用する。画一的ではない自立学習を促すことに加え、紙とアプリの両媒体で提供している点でもコスモトピアのサービスと相性が良い。

<EdTech市場開拓、連携視野に>

 FCEはまず、コスモトピアのグループイン1年目の今期を体制構築の期間に位置付ける。1校ごとに販路を開拓してきたFCEに対し、コスモトピアは自治体を通じた全校導入の実績を積み重ねているため、両者の利点を生かせるよう営業戦略を融合していく。

 2年目の来期はそのシナジー(相乗)の発現を見込む。ユーザー層が重なるため、みんなの学習クラブとフォーサイトのクロスセルに伴う増収効果が期待されるほか、セルフィーのクラウド化も含め、本格的な連携を視野に入れる。これらを基盤に、3年目の2026年9月期は教育研修事業の本格的な業績拡大フェーズを迎える公算だ。

 文部科学省は、1人に1台のパソコンやタブレット端末を整備する「GIGA(ギガ)スクール構想」とともに、デジタル学習のプラットフォームである「学習eポータル」を導入した。学習eポータル向けのサービス展開はEdTech(=エドテック、教育とITの融合)市場を取り込むカギとなる。FCEでは、フォーサイトとコスモトピアの商材を駆使し、自立学習を支えるパッケージとして存在感を高めていく考えだ。

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ