<新興国eye>前週のインド株、総選挙結果懸念や利食い売りを受け3週ぶり反落=BRICs市況

新興国

2024/6/3 9:05

 前週(5月27-31日)のインド株式市場で、代表的株価指数SENSEX指数の31日終値は前日比0.1%高の7万3961.31、週間ベースでは24日終値比1.92%安と、3週ぶりに反落した。

 週明け27日は指数が下落。30日まで5営業日続落した。

 週前半は、総選挙結果待ちとなる中、これまでの相場上昇を受け、高値警戒感から利食い売りが強まった。金属と自動車が急落、下げを主導。ただ、インド準備銀行(中銀)が政府に予想を上回る2兆1100億ルピアの資金を納付したことを受け、米英大手信用格付け会社フィッチ・レーティングスがインドの財政赤字削減に寄与、ソブリン債格付けにプラスになるとしたことや、港湾運営大手アダニポーツ&SEZ・ポーツが指数の構成銘柄に採用されたことを受け、急騰したため、下げは限定的となった。

 その後は、6週間にわたる総選挙の結果判明(6月4日)を控え、様子見気分が強まる中、売りが強まった。市場ではナレンドラ・モディ首相が率いる与党・インド人民党(BJP)が勝利すると見ているが、過半数の議席を取れるかは不透明。個別銘柄ではアダニポーツや営送電大手パワー・グリッド、複合企業大手リライアンス・インダストリーズに加え、タイヤ大手グッドイヤー・インディアが弱い四半期決算を受け、急落、下げを主導。

 週後半は、米早期利下げ観測の後退で海外株安となり、インド市場でも売りが優勢となった。また、総選挙結果に対する懸念が引き続き重石。金融とITが利食い売りで急落、下げをけん引した。ただ、個別銘柄ではオンライン決済サービス最大手ペイティーエムが急騰したため、下げは限定的となった。アダニ・グループの会長がペイティーエムの株式取得を検討していることが背景。

 その後は、インフレ再燃懸念からFRB(米連邦準備制度理事会)の早期利下げが難しくなる中、米金利高止まり懸念が一段と強まり、米金利に敏感なITセクターが下落、下げを主導した。また、エンジンの製造販売大手カミンズ・インディアが輸出低迷の懸念から急落。ただ、金融セクターが好調となった。米格付け大手S&Pグローバルがインドの主要6行の格付け見通しを「ポジティブ」に見直したことが背景。

 週末31日は反発。総選挙の出口調査(1日)を控え、慎重な取引となる中、これまでの急激な相場下落を受け、安値拾いや値ごろ感による買い戻しが強まった。アダニ・エンタープライズやアダニポーツ、IT大手インフォシス、国営石炭最大手コール・インディア、金融大手のバジャジ・ファイナンスやHDFC銀行などが急騰、上げをけん引。また、土木・建設大手KNRコンストラクションズも受注好調から買われた。

 今週(3-7日)のインド市場は中東紛争やウクライナ戦争、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、原油価格の動向、世界経済、特に米・中・欧の景気動向や金融政策、米中関係、インド国内のインフレ動向、主要企業ニュース、さらにはインド準備銀行(中銀)の金融政策決定(7日)も注目される。主な経済指標の発表予定は3日の5月日経インド製造業PMI(購買担当者景気指数)や5日の5月日経インド非製造業PMIなど。

<関連銘柄>

 インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、インドベア<2047.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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