<新興国eye>前週のブラジル株、インフレ加速や財政不均衡懸念、レアル安に4週続落=BRICs市況

新興国

2024/6/17 9:02

 前週(10-14日)のブラジル株式市場は14日のボベスパ指数が前日比0.08%高の11万9662.38、週間ベースでは7日終値比0.91%安と、4週続落した。

 週明け10日は指数が下落、翌11日は反発した。12日は反落、13日も続落した。

 週前半は、ブラジルの5月IPCA(拡大消費者物価指数)の発表を間近に控え、模様眺めの展開となったが、ブラジル中銀の経済週報「フォーカス・ブルティン」で、24年のインフレ見通しが前週予想の3.88%上昇から3.90%上昇に5週連続で引き上げられたことから、売りが優勢となった。また、家具・電子機器小売り大手マガジン・ルイザや高級婦人靴・ハンドバック専門店チェーン大手アレッツォなど小売りセクターがインフレ加速による金利上昇懸念で急落、下げを主導。ただ、国営石油大手ペトロブラスと鉱山大手ヴァーレが原油と鉄鉱石の相場上昇が好感され、上昇、相場全体を下支えした。

 その後は、米株市場が上昇したことを受け、ブラジル市場でも買いが優勢となった。個別銘柄ではマガジン・ルイザがショートスクイーズ(踏み上げ)で急騰、上げをけん引。ただ、5月IPCAが前月比0.46%上昇と、4月の同0.38%上昇と市場予想(同0.42%上昇)を上回ったことから、インフレ加速懸念が重石となった。

 週後半は、FRB(米連邦準備制度理事会)が今年の利下げ回数を従来予想の3回から1回に縮小する見通しを示したことを受け、急速にドル高・レアル安が進んだことが嫌気され、売りが優勢となった。指数は一時、23年11月9日来安値となった。また、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領が演説で、税徴収額の引き上げと金利低下により、財政赤字を削減、財政均衡を確保すると発言したが、懐疑的な見方が広がったことも売り材料となった。さらに、原油と鉄鉱石の価格下落を受け、ペトロブラスとヴァーレが急落、下げをけん引。

 その後は、新財政枠組み法による政府の財政赤字削減の目標が達成されるかを巡り、懐疑的な見方が広がり、売りが一段と強まった。議会は政府の税徴収額の引き上げ措置を拒否していることが背景。同措置には企業や個人に課せられているPIS/COFINS(社会統合基金と社会保険融資負担金)の税額控除に関する制限や、企業の各種税額控除に対する制限が含まれる。ただ、指数の構成ウエートが高いヴァーレと鉄鋼大手コンパニア・シデルルジカ・ナシオナル(CSN)が鉄鉱石相場上昇を受け、急騰、相場を下支えしたため、下値は限られた。

 週末14日は小反発。フェルナンド・ハダド財務相が講演で、財政健全化のため、財政支出を抑制する方針を示したことが好感され、買いが優勢となった。個別銘柄ではマガジン・ルイザやレンナー・ストアーズ、アレッツォなど景気循環株や消費関連株が買われ、上げを主導。

 今週(17-21日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策、さらにはブラジル中銀の金融政策決定会合(19日)も注目される。主な経済指標の発表予定は17日の6月IGP-10インフレ指数(5月11日-6月10日まで物価変動指数)など。

<関連銘柄>

ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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