<新興国eye>前週のブラジル株、ルラ大統領の歳出削減方針や金融緩和観測に続伸=BRICs市況

新興国

2024/7/1 9:11

 前週(6月24-28日)のブラジル株式市場は28日のボベスパ指数が前日比0.32%安の12万3906.5、週間ベースでは21日終値比2.11%高と、続伸した。

 週明け24日は指数が上昇、翌25日は6営業日ぶりに反落した。26日は反発、27日も続伸した。

 週前半は、海外の重要な経済指標の発表がなく、国内政治の懸念材料もなかったことから買い安心感が広がった。また、投資家のポジション調整日に当たったことも支援材料。ただ、中銀の金融政策決定の議事録公表待ちとなり、金利据え置きがいつまで続くかに関心が集まった。

 その後は、中銀議事録が公表され、インフレ抑制に断固たる姿勢を示していることが分かり、売りが優勢となった。また、米国債利回りが上昇したことを受け、ブラジルなど新興国から資金流出が強まるとの懸念や、洪水被害に見舞われたリオ・グランデ・ド・スル州への援助拡大に伴う財政支出拡大懸念も売り材料となった。

 週後半は、ルラ大統領が地元オンラインニュース大手UOLのインタビューで、財政調整問題は支出削減よりも収入増加を優先する考えを示し、買いが優勢となった。ただ、5月のプライマリーバランス(基礎的財政収支)が610億レアルの赤字となり、市場予想を上回ったことや、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に重要な影響を与える5月PCE(個人消費支出)物価指数の発表待ちとなり、上値は重くなった。

 その後は、FRB幹部が年内利下げの可能性を示唆したことを受け、米国債利回りが低下、買いが強まった。また、ルラ大統領が地元ラジオのインタビューで、財政支出削減方針を改めて強調したことや、リオ・グランデ・ド・スル州の洪水被害により、5月の新規雇用者数が13万1800人に減少、中銀が景気減速懸念から下期に金融緩和に向かうとの観測も支援材料となった。個別銘柄では国営石油大手ペトロブラスが原油高や買い推奨を受け、急騰、上げを主導。

 週末28日は反落。米6月消費者信頼感指数が100.4と、前月から低下したが、市場予想(100)より強かったため、米国債利回りが上昇したことや、中銀が発表した基礎的財政赤字が予想以上に増加したことが嫌気され、売りが優勢となった。ただ、鉱山大手ヴァーレが急騰したため、下値は限られた。

 今週(1-5日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、西側の対ロ制裁などの地政学リスク、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策も注目される。

 主な経済指標の発表予定は1日の6月S&Pグルーバル・ブラジル製造業PMI(購買担当者景気指数)と6月貿易収支、2日の6月IPC-Fipeインフレ指数(サンパウロ大学経済研究所発表の消費者物価指数)、3日の5月鉱工業生産と6月S&Pグルーバル・ブラジル非製造業PMI、7日の6月自動車生産・販売台数など。

<関連銘柄>

ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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