来週の東京外国為替市場見通し=中国の全人代開幕、米中関係の緊迫化を警戒
予想レンジ:1ドル=106円00銭-108円50銭
18-21日のドル・円は上昇した。週初18日は、米企業による新型コロナウイルスのワクチン開発に期待が高まりドル買いとなるも、独・仏のEU(欧州連合)復興基金の提案を受けユーロ買い・ドル売りとなり、ドルは対円でも伸び悩んだ。19日、日銀の追加緩和への思惑や、新型コロナワクチンへの期待がドル・円を押し上げたが、ワクチン開発に慎重な見方が広がると上値を抑制。20日、EU復興基金創設が引き続き材料視されユーロ高・ドル安となり、ドルは円に対しても下落した。21日は米中対立が警戒されドル・円の重しに。なお、22日午前に日銀は臨時の金融政策決定会合を開き、新型コロナ対策として中小企業等の資金繰り支援制度の導入を決定、金融政策は現状を維持した。
22日に約2カ月半遅れで開幕した中国の全人代(全国人民代表大会、国会に相当)では、GDP(国内総生産)成長率の目標数値の設定を見送った。また、香港に国家分裂行為などを禁じる国家安全法を導入する方針で、香港の高度な自治が阻害される懸念が高まった。米国は予めこれに強硬に対応する姿勢を打ち出しており、両国の一層の対立激化が警戒される。このところ、米政府による新型コロナの感染拡大をめぐる中国批判、中国通信機器大手ファーウェイへの制裁強化など、米中関係の緊張が高まる場面が相次いでおり、ドル・円は波乱含みの展開が続きそうだ。
新型コロナでは、米国各地で経済活動再開の動きが出ているものの、感染拡大の第2波を懸念する声も無視できない。また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は否定的ながら米国でのマイナス金利導入観測も依然として根強く、ドル・円は当面、上値の重い推移となりそう。経済指標では、米5月消費者信頼感指数、米4月新築住宅販売件数、米1-3月期GDP(国内総生産)改定値、米4月耐久財受注、米4月中古住宅販売件数、米4月個人所得・消費支出などが発表予定で、ベージュブック(米地区連銀経済報告)も公表される。
ドル・円はチャート上で、200日移動平均線1ドル=108.28円(21日基準)が上値抵抗線。下方向では直近安値105.98円(5月7日)が意識される。
提供:モーニングスター社
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