<新興国eye>ポーランド中銀、政策金利を据え置き―2会合連続

新興国

2020/7/15 11:38

 ポーランド中銀は14日の金融政策委員会で、主要政策金利の7日物レファレンス金利を過去最低の0.10%に据え置くことを決めた。また、ロンバート金利と再割引金利、公定歩合、預金金利もそれぞれ0.50%、0.11%、0.12%、0.00%に据え置いた。市場予想通りだった。

 中銀は7日物レファレンス金利を15年3月に利下げ(0.50ポイント)したあと、同4月から20年3月4日の定例会合まで55会合連続で据え置いたが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的流行)による経済への悪影響を抑制するため、同17日の緊急会合で5年ぶりに0.50ポイントの大幅利下げを決定。4月も0.50ポイント、5月は0.40ポイントと、3会合連続で引き下げ、利下げ幅は計1.40ポイントとなったが、前回6月会合から据え置きに転じている。

 今回の会合で政策金利を据え置いたことについて、中銀は声明文で、「(経済活動が段階的に緩和され)経済活動が回復し、景況感も徐々に改善している。今後数カ月、景気回復が一段と進む可能性がある」、「(これまでの3回の)利下げにより、雇用の減少を食い止め、家計や企業の資金繰りの悪化を抑えられ、パンデミックの猛威が減じたあとの経済活動が早期に回復する可能性がある」などとし、これまでの政策効果を見極めたい考えを示した。

 ただ、「景気回復の程度はパンデミックの悪影響が不透明なことや所得の減少、通貨ズロチの相場変動により限定的となる可能性がある」とも指摘し、慎重な姿勢を示している。

 また、中銀は金融システムに流動性を潤沢に供給するため、通常の公開市場操作(オペ)に加え、量的金融緩和(QE)を一段と強化するため、4月会合で流通市場から国債や政府保証債を買い入れることを決めたが、今回の会合でもQE政策を据え置いた。買い入れ時期や規模についても、前回会合時と同様、「金融市場の状況を判断して決める」としている。さらに、中銀はパンデミックの悪影響を受けている企業が銀行から借り換え融資が受けられるよう手形割引を通じて支援する政策も据え置くことを決めた。

 今回の会合では、最新の四半期インフレ報告書が公表された。それによると、GDP(国内総生産)の見通しは、20年が4.2-7.2%減(中央値は5.7%減)と、前回3月予想時点の2.5-3.9%増から大幅なマイナス成長を予想している。21年は2.1-6.6%増(同4.35%増)で、前回予想は2.1-3.9%増、22年は1.9-6.0%増(同3.95%増)で、前回予想は1.8-3.7%増だった。

 インフレ率の見通しは、20年が2.9-3.6%上昇(同3.25%上昇)で、前回予想は3.1-4.2%上昇。21年は0.3-2.2%上昇(同1.25%上昇)で、前回予想は1.7-3.6%上昇、22年は0.6-2.9%上昇(同1.75%上昇)で、前回予想は1.3-3.4%上昇だった。

 次回の金融政策決定会合は9月8-9日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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