<新興国eye>ブラジル中銀、0.25ポイント追加利下げ―市場予想通り

新興国

2020/8/6 11:24

 ブラジル中央銀行は5日の金融政策決定委員会で、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)の悪影響を抑制し、景気回復を支援するため、また、インフレ率を物価目標(4%上昇)に近づけるため、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を0.25ポイント引き下げ、過去最低水準の2.00%とすることを全員一致で決めた。市場予想通りだった。

 中銀は18年5月、急激な通貨レアル安が輸入物価を押し上げインフレを加速させるリスクが高まったとして、それまでの利下げ継続から据え置きに転換し、19年6月まで10会合連続で現状維持を決めた。しかし、翌7月に景気回復ペースが鈍化する見通しが強まったため、18年3月以来1年4カ月ぶりに利下げに踏み切った。その後、20年に入り、新型コロナ危機による景気悪化懸念が強まったため、利下げを継続。今回の再利下げは9会合連続となる。

 中銀は今回の追加利下げについて、「ブラジル経済は一部回復の兆しが見られるものの、政府による緊急的な低所得者向け現金給付プログラムがまもなく終わる見通しのため、経済成長の見通しは引き続き不確実となっている」とした上で、「現在の経済状況は極めて強い金融刺激策を必要としている」とし、追加利下げの必要性を強調した。しかし、今後の金融政策について、「金融政策による景気刺激の余地は、もし残されているとしても小さくなる」とした。前回6月会合では、「今の景気刺激の金融政策に対する調整(追加金融緩和)の余地はある」としていた。

 また、「次回以降の金融政策による景気刺激の現在の程度に対する調整が起こるとしても漸進的なものとなる。調整はパンデミックの今後の進展に関する情報や財政赤字の拡大懸念の低下が重要となる」とし、さらに、「インフレ期待やインフレ率が金融政策のタイム・ホライズン(21年と22年を含む時間軸)で物価目標(4%上昇)に近づかなければ、今の金融政策による景気刺激を後退させることはない」と述べ、今後の再利下げの可能性は否定しなかったものの、金融調整の規模やペースは小さくなることを示唆した。

 次回の金融政策決定会合は9月15-16日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、iSエマジン<1582.T>、上場MSエマ<1681.T>、

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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