9月FOMC議事録、「次回、資産買い入れ制度をさらに検討」―緩和拡大を示唆

経済

2020/10/8 11:16

<チェックポイント>

●「今後数カ月、国債とMBSの保有残高を拡大するのは適切」と指摘

●新フォワードガイダンスは意見二分―賛成多数、反対少数

●議事録公表後、債券市場で10年国債利回り急伸

 FRB(米連邦準備制度理事会)は6日、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(9月15-16日開催分)を公表した。次回11月4日会合か、またはそれ以降に、現在の量的金融緩和(QE)の規模拡大の方向で検討する必要があると指摘していたことが明らかになった。

 QEの規模拡大に関しては、「市場機能を円滑にし、金融緩和を促進するには、今後数カ月、FRBは国債とMBS(不動産担保証券)の保有残高を少なくとも現在のペースで拡大していくことが適切と判断した」とした上で、「複数の委員は次回以降の会合で、どうすれば資産買い入れプログラム(QE)が雇用の最大化と物価安定の達成を最大限支援できるか、さらに検討し、市場との対話を行うことが適切だと主張した」としている。

 ただ、ニューヨーク債券市場では、QE規模の拡大のための資産買い入れ対象が中期国債(3年国債)から長期国債(10年国債)にシフトしない考えが示されたとして、議事録公表直後、10年国債が売られ、利回りは0.784%と、6月9日以来4カ月ぶりの高水準となった。議事録では、「複数の委員が、長期金利はすでに低水準となっているため、国債の利回りを押し下げる圧力を一段と強めるフォワードガイダンス(金融政策の指針)は必要ないと主張した」としている。

 また、今回の議事録では、政策金利に関する新しいフォワードガイダンスが採用されたことについて、「多くの委員がゼロ金利から利上げサイクルに入り、金融政策の正常化に向かう基準を盛り込んだ、新しいフォワードガイダンスを支持した」としたが、カプラン・ダラス連銀総裁とカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の2人の委員が、金融政策決定の柔軟性が損なわれるとして反対していたことが分かった。

 新フォワードガイダンスはインフレ率が当分の間、緩やかに物価目標の2%上昇をオーバーシュートさせ、一定期間の平均でインフレ率を物価目標に収束させる、いわゆる「平均インフレ目標政策(AIT)」で、これは国債やMBSの買い入れ調整やどんな経済状況になれば今の景気刺激策を緩めていくかという出口戦略(量的金融緩和からの脱却を目指す戦略)を示すものだ。FRBは金融政策スタンスの規模やタイミングに関する将来の調整を決めるにあたり、雇用最大化と物価目標の達成との関連で経済状況の予測値や実績値を検討する方針だ。

 前回9月会合で発表されたFOMC17人の最新の経済・金融政策見通しでは、20年から23年末までゼロ金利政策が据え置かれる見通し。このため、市場ではFRBが景気回復を受け、利上げに転換するのは早くても24年になると見ている。

 また、多くの委員は米経済が新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)から急回復するためには、政府の大規模な追加景気刺激策が早期に必要になるとの見方を示した。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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