DeltaF、28年3月期までに6つのパイプラインの発売を目指す

株式

2020/11/30 11:12

 Delta-Fly Pharma<4598.T>の江島清代表取締役社長は26日、オンラインで開催されたモーニングスター主催の「第2回オンラインIRフェア」に出席し、21年3月期第2四半期累計の決算概要とともに、パイプラインの進ちょく状況と今後のスケジュールを説明。28年3月期(27年度)までに6つのパイプラインの上市(発売)を目指すと明らかにした。

 DeltaFは抗がん剤の開発を進めるベンチャー企業。有効成分などの一つひとつをモジュールとして捉え、それらを組み立てていく「モジュール創薬」という独自コンセプトで製品を開発している点が特徴のひとつ。「モジュール創薬」は研究開発の短期化が期待できるほか、承認されていながら効果と毒性のバランスが取れていない抗がん剤に対し、投与量や投与方法を変えたり、高分子技術やデリバリー技術などを応用して改善し、新たな抗がん剤とすることもできる。

 現在、同社がもっとも注力している医薬品候補である急性骨髄白血病を適応症とした「DFP-10917」は23年3月期、末期のすい臓がんなどを適応症とした「DFP-17729」は25年3月期、末期の肺がんを適応症とした「DFP-14323」は26年3月期、すい臓がんや胃がんの再発防止を目的とした「DFP-11207」およびDFP-10917を固形がん向けに改良した「DFP-14927」を27年3月期、胃がんや卵巣がんなどを適応症とした「DFP-10825」を28年3月期までに、それぞれ上市する計画。

 「DFP-10917」は急性骨髄白血病のうち、難治性の患者と再発した患者を対象とする。「既存の療法では効果が薄い病症」(江島社長)だ。急性骨髄白血病の患者のうち約7割に相当し、市場規模はグローバルで700億円とされる。米国において第3相臨床試験中で、新型コロナウイルス感染が拡大している地域で症例登録が鈍化しているが、治験参加病院数を増やし、患者対象範囲も拡大することで予定通り臨床試験を進める。

 このDFP-10917は2週間の持続点滴が必要だが、大腸がんや胃がんなどの固形がんへの適応を考え、1週間に一度の投与でほぼ同様の効果を得られるように改良したのが「DFP-14927」だ。これは米国で第1相臨床試験を実施している。

 再発したすい臓がんや胃がんを適応症とした「DFP-11207」は、同社が開発しているパイプラインのなかでグローバルでの市場規模が1000億円ともっとも大きい。再発したがんに対する既存薬はいくつかあるが、「効果と安全性のバランスを改善し、より多くの患者に使われるように開発を進めている」(江島社長)という。安全性はすでに確認済みで高い延命効果が期待できるとしており、第2相試験に進む段取りを進めている段階だ。

 このほか、末期の肺がんを適応症とした「DFP-14323」は高い有効性を確認し、実臨床では従来の抗がん剤では効果がみられなかった多発性骨転移の消失も確認された。「DFP-17729」はがんを取り巻く酸性の環境を中和することでがんの動きを抑えるという新しい仕組みで、末期のすい臓がん患者に対し、低用量の抗がん剤と併用したところ、肝転移腫瘍の大半が消失。また、オプジーボだけでは大きな効果が得られなかった末期の胃がん患者に対して投与したところ腫瘍マーカーが正常化した。胃がんや卵巣がんなどを適応症とした「DFP-10825」は局所投与で高い効果が確認できたという。

 なお、21年3月期第2四半期累計の連結業績は、事業収益が1億円(前年同期は売上立たず)、営業赤字が4億6300万円(同7億2500万円の赤字)。通期連結業績予想の事業収益3億円(前期比3.0倍)、営業赤字8億5000万円(前期は15億4500万円の赤字)は据え置いた。

提供:モーニングスター社

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