<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を据え置き―8会合連続

新興国

2021/3/25 10:32

 ハンガリー中央銀行は23日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を過去最低水準の0.60%に据え置くことを決めた。他の政策金利についても、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利をマイナス0.05%に、また、上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利もそれぞれ1.85%に据え置いた。市場予想通りだった。

 中銀は新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)の景気への悪影響や金融市場の混乱を抑えるため20年4月7日の臨時会合で、ベース金利のコリドーの上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利をいずれも0.90%から1.85%に引き上げた。これは銀行が資金を中銀に預けるよりもインターバンク市場で積極的に運用(貸し出し)することを促し、市場の流動性供給を高めることを狙った措置。その後の6月と7月にベース金利だけを各0.15%、2会合連続で引き下げた。据え置き決定は8月以降、これで8会合連続となる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、前回同様、「われわれの使命は、物価を安定させ、金融市場の混乱を防ぎ、政府の経済政策を支えることだ」としたが、今回の会合では、「インフレは今後数カ月、一触即発の可能性が高い。経済の再開で需要が供給を上回り、また、燃料価格の上昇や消費税の引き上げなどにより、インフレが急加速する。4-6月期には5%上昇に接近する」とし、インフレ加速懸念を示した。市場では中銀は通貨フォリント相場が下落し、期待インフレ率が予想以上に高まれば、今後数カ月以内に7日物預金金利(現在0.75%)を引き上げるとみている。

 今後の金融政策については、「現在の先行き不透明な経済環境がインフレの持続的上昇を引き起こすことを防ぐ必要がある。われわれは経済の再開に伴うインフレ加速リスクや新興国市場での投資家のリスク投資意欲の動向を注視し、インフレ加速リスクが高まれば、適切な手段を講じる用意がある」と金融引き締めに転換する可能性に含みを残した。

 景気見通しについては、「ハンガリー経済はパンデミックの第2波感染に対し、強靭さを示した。20年10-12月期のGDP(国内総生産)は前期比1.4%増(前年比5.0%減)、20年全体でもEU(欧州連合)の平均より小幅な持ち込みとなった」とした上で、「ハンガリー経済は今後、新型コロナの第3波感染拡大により、GDP伸び率が押し下げられる可能性がある」とした。中銀では21年のGDP伸び率見通しを4-6%増、22年は5-6%増、23年を3.5%増になると予想している。

 次回の金融政策決定会合は4月27日に開かれる予定。

<関連銘柄>

上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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