米6月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比85万人増―市場予想上回る

経済

2021/7/5 10:08

<チェックポイント>

●政府部門雇用者数が18.8万人増―教育関連を中心に一時的に急増

●失業率5.9%―5月および市場予想を上回り悪化

●平均時給、前年比大幅増、前月比では3カ月連続で増加

 米労働省が2日発表した6月雇用統計で、非農業部門雇用者数は、前月比85万人増と、5月の58万3000人増(改定前は55万9000人増)を上回り、20年8月の158万3000人増以来、10カ月ぶりの高い伸びとなり、市場予想の68万-72万人増をも上回った。新型コロナ感染者数の減少やワクチン接種の進展を反映し、経済・社会活動の規制緩和が進み、レストラン・バーや小売などで一時帰休労働者の職場復帰が強まったほか、教育関連を中心とする政府部門の雇用が一時的に伸びたことが寄与した。

 非農業部門雇用者数の内訳は、民間部門が前月比66万2000人増と、5月の51万6000人増や4月の22万6000人増から回復傾向にあることを示した。他方、政府部門が18万8000人増と、5月の6万7000人増や4月の4万3000人増を大幅に上回り、4カ月連続の増加となった。多くの州や市町村などの地方自治体が学校再開で教職員やスクールバスの運転手、食堂スタッフなどの採用に動き出しているためで、州と市町村の教育関連の雇用は計23万人増となっている。こうした一時的要因を除くと、全体の新規雇用者数は5月とあまり変わらなかった可能性がある。

 過去3カ月間(4-6月)の月平均の雇用者数の伸びは56万7000人増と、20年5月時点の651万人減や6月時点の433万3000人減から改善した。

 パンデミック前の雇用者数(事業所統計ベース)は約1億5250万人で、6月現在の雇用者数は1億4576万人。パンデミック前の水準には674万人足りていないため、年内にパンデミックで失われた雇用のすべてを取り戻すには月100万人のペースで増加する必要がある。

 一方、失業率は5月の5.8%から5.9%に上昇し、13カ月ぶりに上昇した4月の6.1%や3月の6%に接近。市場予想の5.6%を上回った。

 また、労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)は61.6%と、5月と変わらず、4月の61.7%を下回った。20年6月(61.4%)以降、ほとんど変わっておらず、パンデミックが始まったばかりの20年3月の62.6%やパンデミック前の19年12月の63.3%を下回っている。

 失業者数のうち、約19%に相当する181万1000人(5月は約20%相当の182万3000人)がパンデミックを受けた経済活動の自粛によって発生した「一時帰休による失業者」に分類された。6月はこの一時帰休者数が、規制解除が進む中、前月比でわずか1万2000人減少(5月は29万1000人減少)にとどまった。過去6カ月間(1-6月)で計122万8000人が職場復帰したが、20年6月に職場復帰者が約480万人と、ピークに達して以降、職場復帰のペースは依然として鈍化傾向にある。

 賃金(平均時給)の伸びは雇用需要の拡大を反映し、前月比0.3%(10セント)増と、市場予想の同0.4%増を下回ったが、5月の同0.4%(13セント)増からさらに伸び、3カ月連続の増加となった。前年比は3.6%増と、5月の1.9%増を上回った。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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