6月FOMC議事録、「複数の委員、量的緩和縮小は不動産担保証券からが望ましい」

経済

2021/7/8 11:15

<チェックポイント>

●テーパリングの開始時期については慎重な意見が多数

●雇用と物価のFRB目標の進展見込むも「テーパリング開始の条件は満たされていない」

●7月27-28日FOMCか8月のジャクソンホール会議でテーパリング開始か―市場観測

 FRB(米連邦準備制度理事会)は7日、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(6月15-16日開催分)を公表し、テーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)について、市場が注目していた、資産買い入れの縮小開始のタイミングについては具体的に言及しなかったが、「複数の委員は資産買い入れペースの減速(減額)はMBS(不動産担保証券)を国債より早く、かつ、迅速に減速した方がメリットは多いと指摘した」とし、MBSの先行削減が提案されていたことが分かった。現在、FRBはQE(量的金融緩和)政策の一環として、国債買い入れ目標を月額800億ドル、MBSを月額400億ドルの計1200億ドルとしている。

 MBSの先行減額の理由については、「住宅価格の上昇圧力が高まっている現状に照らすと望ましい」としている。住宅購入需要が急拡大している一方で、住宅供給が追い付かず、住宅価格の上昇圧力が高まっていることから、MBSの買い入れ減額により、住宅市場の過熱化を抑制することを意図している。

 テーパリングの開始時期については、「FRBの目標(雇用の最大化と物価安定)に向けた著しい進展があることが開始の条件だが、まだその条件は満たされていない」とした。

 また、「一部の委員は経済の勢いについて明確な兆候が示されていない。雇用市場とインフレの今後の動向をより良く評価できる経済指標は今後数カ月経過しないと分からないと指摘した」とテーパリングの開始に慎重な意見も示された。さらに、「複数の委員はFRBが目標の達成に向かって経済が進展したかどうかを検証し、資産買い入れ計画を変更するためには辛抱すべきだと主張した」とし、テーパリングの開始は時期尚早との見方を示している。

 一方、「委員はFRBの目標に向かって大きな進展は今後も続くと見ている」とした上で、「多くの委員は資産買い入れペースを減速させ始める条件が過去の会合で考えていたよりもやや早く満たされると指摘した」としており、金融引き締めへの転換が早まる可能性を示唆した。

 市場ではテーパリングの開始のタイミングについて、次回7月7月27-28日のFOMCか、または8月恒例の世界主要国の中銀総裁ら金融当局や大手金融機関のトップが参加してワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティー連銀主催の国際経済シンポジウムでのパウエルFRB議長の発言に注目している。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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