<一撃!裏銘柄>スピード調整進展、好業績実力株の押し目を狙う=東洋炭素

株式

2021/9/2 12:14

 東洋炭素<5310.T>は株価の調整が進展した。エントリーポイントとしてマークしたい。

 同社は等方性黒鉛を原料とする高機能カーボンやセラミックス、ガス発生装置などを製造。等方性黒鉛生産は世界シェア3割、パンタグラフ用カーボンすり板でも高シェアを誇る。

 新たに開発した次世代型触媒担体(物質中の電流の担い手)向け「クノーベル」は、商用車用燃料電池での採用を視野に本格生産を計画。従来の燃料電池の3倍の出力と2倍の耐久性を実現する触媒担体として、実車搭載を展望する。

 また、市販車用を想定したコスト要求にも対応できる量産技術を確立しており、2025年度の売上は現状比5倍を見込んでいる。このほか、クノーベルに白金を定着させた燃料電池向け次世代電極触媒「MH-18-PT50」の試薬販売が好調だ。電池メーカーなど約20社で検証が行われており、今後のビジネスチャンスとして期待が高まる。

 半導体需要がひっ迫する中、同社はシリコンウエハー製造部材でも国内外多くのメーカーと取引実績を持つ。300ミリ、200ミリ口径の両方の製造ライン向けにポジションを構築するなど、ウエハー生産拡大の恩恵を享受できる立ち位置も魅力的だ。

 等方性黒鉛製造ラインに約70億円、高純度化処理設備に約25億円を振り向けることなどを盛り込んだ設備投資計画も注目される。生産能力増強により、各市場の拡大に対応していく。

 21年12月期上期の連結業績は、売上高が175億3500万円(前年同期比13.0%増)、営業利益が23億6600万円(同14.7%増)だった。通期の営業利益は56億円(前期比63.6%増)を見込み、コロナ禍以前の水準への回復に手応えを見せる。

 株価は1年半近く上昇を続けていたものの、8月12日からのスピード調整により、過熱感が解消した。PBR(株価純資産倍率)が約0.8倍と割安感も強く、26週移動平均線の下値サポートも盤石。再起動のタイミングは近づいてきた。

提供:モーニングスター社

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