アピリッツ、DX需要の獲得進む――ゲームはヒット作移管や新タイトルに期待

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2021/9/24 9:00

 Webシステムの開発やEC(=Eコマース、電子商取引)サイトの構築、オンラインゲーム事業を展開するアピリッツ(4174・JQ)は、売上拡大のための先行費用の影響などで今1月期上期の営業利益(非連結)が計画を下回った。一方、売上高はWebソリューション事業を中心に好調に伸び、来期へ向けた引き合いも強い。

一気通貫で支援、ストック基盤に厚み

 同社は企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を、戦略・企画から開発、運用保守までを一気通貫で支援する。日本でもDX化の動きが本格化しつつあることで、商機が広がっている。また、同事業の顧客の継続率はおよそ8割と高く、ストックの基盤は厚みを増している。

 上期は売上高が22億1600万円と計画(20億3200万円)を上ブレした。DX分野の需要が堅調に推移したほか、もう1つの収益柱であるオンラインゲーム事業も予算比で増収となった。ただ、営業利益は1300万円と、期初の予想(6700万円)に届かなかった。

 利益下ブレの要因は、Webソリューション事業の外注費の拡大だ。ただ、これは需要増加に伴うもので、将来的に大型案件を含む新規ビジネスが視野に入っていることの裏返しだ。オンラインゲーム事業では、ヒット作「けものフレンズ3」のセガから自社への移管費用がかさんだが、7月末で移管作業が終了し、下期は自社での運営になることで今後は機動的な施策やコスト管理が可能になる。

 通期の業績予想は、売上高を47億5400万円(前期比22.2%増)、営業利益8600万円(同62.5%減)としている。従来の計画に対し売上高を5800万円上積みした一方、上期から続く売上拡大のための費用増加が第3四半期(8~10月)の途中まで続くことで、営業利益は1億9700万円の下方修正となった。

M&Aなどで「挑戦的収益」上乗せへ

 Webソリューションの事業環境の見通しは今後も明るく、積み上げたストックと新規受注を原動力に、中期的に利益を伴う成長が加速する方向だ。大型案件の獲得により、カギを握る売上単価の水準も着実に高まり、今期第2四半期(5~7月)は362.1万円(前四半期は341.1万円、前年同期は307.9万円)となった。また、オンラインゲームについても、海外展開に備えたM&A(企業の合併・買収)や人気シリーズの新作など先行きの期待材料が豊富だ。

 今後の成長戦略について、Webソリューション、ゲームの受託開発といった過去から今期上期にかけて安定的に右肩上がりで成長を遂げてきた安定事業を土台に、ゲームの自社タイトルや海外展開、新たなM&Aなどによる「挑戦的な収益を上乗せしていく」(同社の和田順児社長)ビジョンを描く。株価は2000円どころのボトム圏を徐々に底離れしつつある。9月末を基準日に1対3の株式分割を実施する点も見逃せない。

(写真:123RF)

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